ポーランド政治・社会情勢(4月14日〜30日)

 

1.「2党+1」の連立内閣が発足へ

 4月28日、数週間の曲折を経て、与党「法と正義」と野党第二党の「自衛」、同第四党の家族同盟(LPR)の分派「国民議会クラブ」(NKP)が連立政権設立の合意に達し、2党+1会派の代表が合意書に署名した。マルチンキェヴィチ首相は、カチンスキ大統領との協議の結果として、改造連立内閣の発足は5月5日の見込みとした。(当館注:憲法上、閣僚人事は首相の申請により大統領が任免する)。

 同じく交渉に加わっていた農民党が連立参加を拒否したため、新連立与党の現有議席は、下院過半数の230議席に12議席不足する218となり、議会多数派工作という「法と正義」の主目的が達成されず、現時点では「小数連立政権」となった。新内閣には「自衛」からレッペル党首が副首相兼農相として入閣の予定。

 「法と正義」では、なお下院過半数獲得の望みを捨てず、農民党との交渉継続や、LPR本体との再交渉に望みをつないでいるが、合意には厳しい状況。党内からは(多数派工作に)「失敗すれば前倒し選挙」(リピンスキ副党首)といった弱気の発言もある。

 

2.「自衛」、支持率伸ばす

 4月25日、世論調査機関GFKは、最新の政党支持率を発表した。野党第一党の市民プラットフォーム、与党「法と正義」が各30%、29%と安定した支持を維持したが、政党「自衛」が10%と昨秋の選挙以来最高の支持率を記録した。最近の他の世論調査でも同様の結果が出ており、各紙は「連立内閣の交渉で、レッペル「自衛」党首が「落ち着き、安定した印象」を与えるのに成功したため」、と分析している。

 

3.メレル外相、辞任へ

 4月29日、ソフィアのNATO外相会合に出席していたメレル外相は、政党「自衛」がレッペル党首の入閣を条件とした連立内閣設立に合意したことを受け、マルチンキェヴィチ首相に電話で辞意を連絡した。首相は受理し、5月5日の内閣改造で外相も交代する見込み。

 メレル外相は、以前からレッペル党首と同内閣で閣僚になる気は無いと表明しており、その方針に従ったもの。合意直後の辞意表明は、「例え一日でもレッペルが入閣する内閣の外交政策の責任を負いたくなかったため」と言われている。

 

4.国財省の「粛清人事」

 4月27日、国有財産省で、新任のノヴォシェルスカ官房長は、突然局長級の17名の職員を集合させ、解任を通告した。解雇された職員には勤続10年に及ぶ人物も含まれており、一度にここまで大量の解任は他の省庁にも例が無く、事前の通知も無かったことから、「粛清人事」と言われた。国財省の報道官は、大量解任の理由を「組織改革のため」としか説明していない。国財省は二ヶ月前にヤシンスキ前下院国有財産委員長が大臣に就任したばかりだった。与党「法と正義」は、国財省が国営企業民営化を通じた汚職の温床となったと見ており、批判的な方針で臨んでいる。

 

5.憲法法廷長官、与党を強く批判

 4月24日、サフィアン憲法法廷長官は、与党「法と正義」幹部が憲法法廷に対し、判決の内容などではなく、「根拠薄弱な政治的批判を繰り返している」として、「国家に損害を与えている」と強く批判した。前23日に、憲法法廷が弁護士の国家試験制導入を違憲としたことにジョブロ法相らの「法と正義」幹部が強く批判し、「憲法法廷判事は、(旧共産系の)民主左翼連合(SLD)系統の影響下にある」などと発言したものに応じたもの。

 憲法法廷は、与党提案の国家ラジオ・テレビ委員会設置法やこの弁護士資格関係法に違憲判断を行ない、与党との対立を深めていた。