ポーランド政治・社会情勢(3月15日〜21日)

 

1.与党、否決を見越した解散提案。新たな連立模索か

 3月17日、政府与党「法と正義」のカチンスキ党首は、政党「自衛」、「家族同盟」(LPR)との閣外連立が機能しなくなったとして、下院解散・総選挙を提案すると述べた。同党首やマルチンキェヴィチ首相は、LPRのギエルティフ党首の与党批判に対し、「政府の信頼低下を招き、支持率が下がる。批判を止めないなら選挙だ。」と以前から述べており、その路線を改めて表明したもの。主要野党は既に解散反対の方針を示しているため、下院定数の3分の2の賛成が必要な解散の可能性は始めから少ない。このため、「解散・総選挙もなく、閣外連立も機能停止」という不安定な状況が生まれ兼ねず、行政の停滞が懸念されている。一部では、「法と正義」は、対立的なLPRに替えて農民党を連立に誘い、与党・「自衛」・農民党の新連立を狙っているとも言われている。

 第一野党の市民プラットフォーム等は、与党こそ責任をとるべきで、議会解散より内閣辞職が正道、と主張している。

 

2.欧州委、ポーランド経済改革の遅れを批判

 3月20日、バローゾ欧州委員長は、「中央銀行の独立性侵害の可能性は、欧州モデルへの最良の適合とは言い難い」、などと発言し、ポーランドの政府・与党の中銀攻撃とBPH、Pekao銀行の合併阻害を批判した。

 同日、ロンドンの欧州改革センター(Center for European Reform)は、EUの競争力強化を目的とした「EUリスボン戦略」の達成状況に関する最近の調査結果を発表した。この調査は欧州委の委託によるもの。調査対象はEU25カ国+ブルガリア、ルーマニアで、ポーランドの改革進展度はマルタに続くワースト2の26位。特に遅れが目立つ分野として、技術開発、運輸、金融サービス、会社設立手続の合理化、競争政策、社会保障制度近代化、環境保全、失業対策が挙げられた。同報告書は、「(ポーランドの遅れは)2005年は選挙の年であり、やむを得ない面もあったが、現右派政権は大衆迎合的(ポピュリスティック)傾向を強めており、今後も改革の加速化は期待薄。」と率直に指摘した。

 

3.クワシニェフスキ前大統領を事情聴取?

 各紙では、検事局による、クワシニェフスキ前大統領の事情聴取の可能性を報道している。

 ミレル内閣のワピンスキ元厚相は、政府予算3,200万PLNが支出されながら設立されなかった「国立血漿分離研究所」の予算不正使用の疑惑で、2002年当時に、クワシニェフスキ大統領から調査中止の圧力を受けたと証言している。本件計画の責任者M.ヴァピンスキ氏は、前大統領の親族と近い関係にあると言われている。クワシニェフスキ前大統領は最近国内政治から遠ざかっているが、求心力を欠く左派政党の中心として再登場を期待する声もあり、本件が障害になる可能性も指摘されている。

4.家族同盟、中銀活動調査特別委の設置に消極姿勢

 中央銀行(NBP)との対立から、与党「法と正義」が急ぐ下院「中央銀行活動特別調査委」の設置は、「家族同盟」(LPR)の消極姿勢で遅れている。「家族同盟」は、NBPだけでなく、過去の銀行民営化も全て調査対象にすべきだと主張し、事実上、設置法案の調整を困難にしている。3月15日、「法と正義」のゴシェフスキ院内総務は、「LPRが方針を変更しない場合、「安定協約」に反し、選挙に訴えざるを得ない。」と発言、17日に「機能停止」が宣言される連立内の対立を改めて印象付けていた。

 

5.各地でベラルーシ民主化の集会

 3月19日に実施されたベラルーシの大統領選挙で、ポーランドの各地では野党派を支持する集会が開催された。ワルシャワでは、ベラルーシ大使館前に数百名の人々が集まった。また、人権運動のNGOなどは、ベラルーシ民主勢力を支持するとして、各地ベラルーシ語民主化要求や、関係ウエブサイトのアドレス案内等の大型広告を出すなどの活動を行った。ビャウィストックのベラルーシ向け放送局では、選挙前後はベラルーシ語/ポーランド語の特別番組を放送した。

 

6.国家ラジオ・テレビ委、「放送倫理規定」により、POLSATに罰金50万PLN

 3月21日、国家ラジオ・テレビ委のクルク委員長は、民間TV局POLSATに対し、トーク番組で出演者が障害者に屈辱的な扱いをしたとして、「放送倫理規定」により罰金50万PLNを課すと決定した。また、同委員長はラジオ局TOK FMに対し、昨年11月30日に放送した風刺番組で、婚前交渉に関するゲストとの会話に於いて、カトリック教会の見解を軽視する発言があったとして、「二度と同様の件が発生しないことを要請する」との書簡を送った。

 POLSATでは事情の説明を行い、TOK FMではこの程度の内容は新聞、インターネットでは日常的であり、放送関係のみ過度の倫理規定を押しつけられている、と反論した。