ポーランド政治・社会情勢(2月8日〜14日)

 

1.大統領のTV演説で、数時間「解散か」の憶測騒ぎ

 2月13日夜、二週間の議会解散権の終了前日にカチンスキ大統領はTVで演説し、与野党三党の「安定協約」により議会が安定したとして、議会解散を見送ると述べた。この日、午後3時頃に大統領のTV演説の予定が伝えられると、次第に「大統領が解散決意?」の報道に変わり、政界が大騒ぎになった。

 騒ぎの背景には、与党「法と正義」が、閣外連立の「自衛」、家族同盟に対する最後の「詰め」があったと言われている。連立を約束する「安定協約」では、署名三党は三党合意以外の法案には賛成出来ないことになっているが、法律の修正案には言及が無かった。最近、税制関連で「自衛」、家族同盟は野党の市民プラットフォームの修正案に好意的な姿勢を見せたため、改めてカチンスキ「法と正義」党首は締付けの強化が必要と判断、解散の可能性でおどしつつ、「他党提案では、法案・法律の修正案でも支持しない」項目の追加を、大統領演説の直前に認めさせたと言われる。カチンスキ党首はこの署名後、「解散しないように弟(大統領)を説得しに大統領府に向かう」と述べたと言う。

 

2.個人所得税の最高税率50%導入が不明瞭に

 2004年12月、現行の三段階個人所得税率(19%、30%、40%)を、年収60万PLN以上の高額所得者を対象に、税率50%に引き上げる個人所得税法の改正が成立した。しかし憲法法廷は、告知期間が過度に短く、2005年1月1日からの導入は憲法違反と判断、同年中は実施されなかった。一方法律自体は違憲とされず、成立しているため、1年が経過した本2007年度からの適用が問題となっており、専門家でも意見が分かれている。財務省では年明け後も方針を示さず、今後の対応が注目されている。

 

3.メレル外相、「辞任の噂」から留任へ

 2月13日付の各紙は、メレル外相が辞任を決意したと報道した。以前から、EUへの強硬姿勢を主張する与党「法と正義」では、元々党からは外様の官僚出身で、対EU協調方針の同外相に批判的と言われる。同党は、対EU強硬派で知られる市民プラットフォーム(PO)のサリユシュ=ヴォルスキ欧州議員に対し、メレル外相に相談無く、PO離脱を条件とする外相就任を打診し、同議員に断られたという風評もあった。更に、大統領府と首相府と外務省との外交政策を巡る権限争いも背景にあると言われている。

 しかし、2月15日、メレル外相は恒例の年頭外交方針演説を下院で行い、自ら続投を表明し、カチンスキ(弟)大統領も、メレル外相を今後RBNに加え、残留を希望すると述べた。一方各紙では、与党内のメレル外相への不満を伝え、「(メレル外相留任による)「安定」は数ヶ月しか続かない」(「法と正義」議員)としている。

 

4.カチンスキ大統領、訪米

 カチンスキ大統領は米国を訪問し、2月9日にはブッシュ大統領と会談した。会談ではウクライナ、ロシア、ベラルーシの「東方情勢」が中心となった。ブッシュ大統領は、ポーランドのイラク駐留延長でカチンスキ大統領に感謝を表明した。

 米国入国査証の免除問題は大統領会談では触れられず、青少年、留学生に対する緩和措置の検討以外に進展はなかったが、カチンスキ大統領は記者団に対し、少なくとも査証審査手数料(現在約100ドル)は、発給拒否者に対して免除されるべきであり、また平等のため、米国民に対するポーランド入国査証の義務付けを導入する可能性があるとした。

 カチンスキ大統領は、ブッシュ大統領に、1989年の初の部分的自由選挙の際、「連帯」側が作成した、西部劇「真昼の決闘」のゲーリー・クーパーが「連帯」のロゴを掲げている有名なポスターのオリジナルを贈呈した。

 

5.荒れる学校

 中学校、高校を中心に、学校でのモラルの荒廃が目立ってきている。教育省では、学業成績以外に、素行評価でも基準未満の場合は落第、留年させる制度を検討している。

 世論調査機関OBOPの調査では、中学校(ギムナジウム)生徒の内、95%が「教師を信頼していない」、68%が「教師の生徒への対応は悪い」、50%が「教師は生徒に関心を持っていない」と回答した。全国教員協会のクロピヴニツキ副代表は、「全国的に教員という職業のプレステージと権威が失われている。」と語った。

 最近目立った不祥事でも、グダィンスクの8の普通高校で裏口入学が発覚、ある高校の校長は、学校従業員の募集広告を成人紙の「sextrety」に出し、性的児童虐待の前科のある2名を雇用、デンブリナでは教師の生徒への麻薬販売が発覚、がニュースになっている。教員の給与は平均で2,230plnで、全国平均とほぼ同じだが、これが低水準かは意見が分かれている。

 生徒側の問題も多く、通称「GAN」(glosny(うるさく)、agresywny(攻撃的な)、nastolatek(ティーンエージャー)がますます増えている。アンケートでは、中学生の40%が慢性的授業妨害、2%が教師に暴力を振るった経験ありと答えた。既に多くの学校で、監視・記録カメラの配備、校内警備員の配置や、暴力行為発生の場合は直ちに親に連絡する、といった体制をとっている。

 

6.ポーランドで鳥インフルエンザ?

 2月14日、ポーランドの西北国境から60キロのドイツRugia島で、鳥インフルエンザのH5N1型ビールス感染により死亡したと見られる白鳥2羽などが発見された。また、国内でも、同15日、グダィンスク南東のKrynica Morskaで白鳥の死体が発見され、鳥インフルエンザ感染の疑いで検査されている。