ポーランド政治・社会情勢(1月11日〜17日)

 

1.政局:連立か、解散か

 政府、与党が議会で多数派を形成できないため、連立内閣発足か、マルチンキェヴィチ少数内閣の継続か、解散・総選挙かを巡る政局の動きが続いている。

 1月17日には、最大野党の市民プラットフォーム(PO)のトゥスク党首らがカチンスキ大統領を訪問、総選挙から半年後の再選挙は国のためにならないとして、連立の斡旋を求めた。大統領は各党派との協議を約束したが、解散、総選挙の可能性も否定しなかった。トゥスク党首は記者会見で「解散の可能性は高い」と述べた。

 各党では既に選挙に向けた動きもあり、与党「法と正義」のJ.カチンスキ党首は、何らかの多数派連立が成立しなければ与党も予算案に反対し、(大統領に解散権を与える)可能性もあると述べた。昨年4月に分裂した民主左翼連合と社民党は、選挙の際には統一候補者名簿で臨む方針で合意しつつある。

 「法と正義」は野党「自衛」、農民党との連立交渉を行っており、政界では「与党は野党を解散で脅しつつ、最終的には議会内連立で留めてマルチンキェヴィチ内閣の延命を図る」との観測もある。

 大統領が選挙と決定すれば、解散は2月1日〜14日のいずれかの日となり、投票日は3月19日、26日、又は4月2日の可能性がある。

 

2.国会、審議全面停止の異常事態。予算案採決は24日に。

 1月11日、与党「法と正義」は、同14日に予定されていた2006年度予算案の採決を、10日間延長する日程を提案、全野党が反対した。家族同盟が対抗案として、予算案の早期採択の決議案を提出すると、ユーレク下院議長はこれを無視したため、野党は下院規則違反として議長解任を要求した。

 混乱は翌12日まで持ち越され、ユーレク議長が本会議は勿論、全委員会の開催も禁止するという、戦後の議会史上初の異常事態となった。ユーレク議長は25日までの全面休会を提案したが、野党は「議会機能妨害のクーデター」と一斉に反発。結局、14日に予算法の第二読会を実施し、その後委員会(再)審議、24日に採決、との妥協が成立した。

 

3.大統領、国会解散権は1月31日に発生と主張。野党は「与党の騙し打ち」と反発。

 1月17日、カチンスキ大統領は、大統領の国会解散権(下記注)は、ベルカ内閣が前国会で最初に予算を提出した、9月30日から4ヶ月後の1月31日に発生すると述べた。

 ユーレク議長やマルチンキェヴィチ首相は、解散権の発生はベルカ内閣が現国会に初めて予算案を提出した10月18日の4ヶ月後である2月18日、と説明していた。そのため下院では、与野党合意で同日に間に合うように審議日程を組んでいたが、この大統領解釈のため、期限までの予算案可決は絶望的になった。野党は、下院議長や首相が大統領の意向を知らなかったはずはなく、与党「法と正義」の騙し討ち、と反発している。

 注:憲法上、国会が「予算案を国会提出の4ヶ月以内に」可決、大統領に送付しなければ、大

   統領は国会を解散出来る、とされている。これは事実上大統領に与えられた唯一の国会解

   散権となっている。ただし、大統領は解散を行う義務はない。

 

4.ガゼータ・ヴイボルチャ紙、ワッセルマン情報機関担当相を提訴か

 1月14日、ガゼータ・ヴイボルチャ紙は、ワッセルマン情報機関担当相が、配下の各機関に過去の有名な疑獄スキャンダル捜査記録に登場する現役政治家の氏名と、その電話通話記録等の提出を要求したのは、は特に野党市民プラットフォームの政治家を対象にしたものだという記事を掲載した。

 ワッセルマン情報機関相は、この報道を政治的偏向とし、同紙が「『ビジネス、犯罪組織、情報機関、官僚』の四者犯罪マフィア」を擁護しているとの声明を発表した。ワッセルマンは電話通話記録等の提出を要求したこと自体は認めており、同紙では「明らかな中傷」として名誉毀損等の訴訟を起こす方針。

 なおカチンスキ「法と正義」党首は、同情報機関相を通じ、一部政治家の「情報」を得たと記者会見で述べたが、公職にない同氏への情報提供には違法の可能性も指摘されている。

 

5.レッペル「自衛」党首、訪中

 1月15日から、政党「自衛」のレッペル党首・下院副議長が中国共産主義青年同盟の招聘で、北京などを訪問している。党組織の招きでの訪中は異例。記者団には、「中国の経済発展のメカニズムを知るのが目的」で、「人権問題は国内問題。中国文明は欧州文明の尺度では測れない。ポーランドはただでさえベラルーシやロシアなどに干渉しすぎ」述べた。16日には、今回の面会相手では最高の全人代副議長を表敬した。

 訪中には、マクスィミュク幹事長、ウイジヴィンスキ副党首らの「自衛」幹部の他、昨年倒産したAir Polonia のスドゥ元社長らのビジネスマンが同行した。