ポーランド政治・社会情勢(12月1日〜6日)
1.ポーランド高官、CIA秘密刑務所の存在を改めて否定
12月6日、米国ABCテレビは、東欧にはCIAの秘密刑務所が存在し、9・11テロを準備したハリド・モハンマド他のアル・カイーダ幹部11名が拘留されていたと報道した。TVでは名指しを避けたものの、ABCのインターネットニュース欄では「(基地は)ポーランドにあった」とし、今回のライス国務長官の欧州訪問を前に秘密裏に閉鎖されたとしている。訪米中のシコルスキ国防相は「全くあり得ないこと」と否定した。
ポーランドでは、人権擁護団体 Human Rights Watchが、2003年にポーランド東北部のシマーヌィ(Szymany)のローカル・空港にB737型のCIA工作機がアル・カイーダ捕虜を乗せて経由したと主張している。この件でも、クファシニェフスキ大統領、シマイジンスキ前国防相、シコルスキ現国防相らはいずれも否定している。
2.イギリス、2007−13年EU予算案を発表。各国反発。
12月5日、EU議長国のイギリスは、6月に前議長国のルクセンブルグの案が否決されて以来、議論が停滞している2007−13年のEU予算案を発表した。総額は予測GDP比1.03%の8,470億ユーロで、ルクセンブルグ案の8,710億ユーロより縮小し、構造基金などポーランドが得られる補助金では、当初期待の約600億ユーロから約560億ユーロへと減少している。
マルチンキェヴィチ首相はこの提案は受入れ不可能とし、バローゾ欧州委員長も「欧州を矮小化する」と批判した。英国は、構造基金の受益者自己負担分の削減、利用期間の長期化など、予算活用の効率化を強調したが、イギリスには事態解決への熱意が欠けていたと言われている。EU議長国は次期(オーストリア)、次々期(フィンランド)と小国が続くため更に調整が困難となり、その次のドイツは、予算年度入りした中での妥協案作成の責任を押しつけられるのを、今から懸念していると言われる。予算の基本的な対立は、農業補助金の削減と、イギリスの還付金(年間約12億ユーロ)削減の関係にある。
3.J.カチンスキ、解散、春の選挙を検討か
12月2日〜4日の週末には、与党「法と正義」が春の解散・総選挙を視野に入れた発言が目立った。2日にレッペル「自衛」党首が「『自衛』との連立内閣を組まないなら内閣支持を撤回する」と発言すると、ウヤズドフスキ文化相は「下院で予算案が否決されれば、「法と正義」は解散・総選挙の用意がある」と述べ、ビエラィン党スポークスマンも、「解散・総選挙はあり得るシナリオであり、ポイントは予算案、ラジオ・テレビ委員会(KRRIT)設置法改正案、反汚職庁設置法案の審議だ」と発言した。5日には、マルチンキェヴィチ首相も「当面連立の必要はない」と発言し、ビエラィン氏と同様の発言をした。
各紙では、カチンスキ「法と正義」党首は少数内閣の現状に不満足で、最近の世論調査で「法と正義」が単独過半数の獲得の可能性も出ていることから、本格的に春(5月?)の解散・総選挙を検討し始めた、とコメントしている。その際、マルチンキェヴィチ首相には選挙後の続投を確約したと言われる。
4.大統領の恩赦手続開始に議論噴出
12月1日、クワシニェフスキ大統領は、捜査情報漏洩などで現役国会議員らが逮捕された「スタラホヴィツェ事件」の二審で、禁固3年半の判決を受け、近く収監予定のソボトカ元内務行政相(元民主左翼連合議員)に対する恩赦手続を開始した。与野党やマスコミで批判が相次いでいる。
恩赦法では、大統領は法務大臣に関連判決文書の送付を要求し、その入手後に恩赦を決定出来る。恩赦決定は大統領が単独で行うため、誰も制限できない。ジョブロ法相は、「法に従い、意見を付して送付する。」と述べたが、クワシニェフスキ大統領の任期が切れる12月23日までは関連文書を引き渡さない可能性があると言われている。後任のカチンスキ次期大統領がソボトカ元次官に対し恩赦を行う可能性は極めて少ない。
本件はソボトカ元次官が自ら、「刑務所は怖れないが、不公正が起きたことを立証したい」のでクワシニェフスキに恩赦を要請したもの。