ポーランドの大統領選挙(決選投票)

平成17年10月23日

                       

 

 23日、ポーランドで大統領選挙の決選投票(第二回投票)が行われ、カチンスキ・ワルシャワ市長、政党「法と正義」名誉党首が当選確実となった。

【ポイント】

●23日、9日に実施された大統領選挙で第一位、二位となったカチンスキ・ワル

 シャワ市長とトゥスク下院議員の間で決選投票が実施され、カチンスキ候補が当

 選確実となった。大統領就任、執務開始は12月23日の予定。

●過去2回の大統領選挙は、旧共産党系対旧反体制派(「連帯」)系の争いとなって

 いたが、今回は上位二候補とも、旧「連帯」出身の中道・右派であり、社会福祉

 重視、とリベラル・市場重視という経済政策が争点の中心となっていた。

●カチンスキ候補が属する政党「法と正義」と、トゥスク候補の「市民プラットフ

 ォーム」は、先の国会選挙で第一党、二党となり、現在連立内閣の組閣交渉中。

 次期大統領の選出により、組閣作業が加速化する可能性あり。

 

T.報道による得票率見込み

カチンスキ・ワルシャワ市長(「法と正義」:中道・右派)   52.8%(暫定) 

トゥスク下院議員(「市民プラットフォーム」:中道・リベラル)47.2%

 

 投票率:50.6%(第一回投票:49.7%)

 (現地時間23日20:30時点。ポーランドTV報道。選管では未発表)。

*ポーランドでは、大統領は首相・閣僚の任免権などを持つが、同権限も含め国会の要承認事項が多い。日常政務は主として内閣が担当する。


U.取りあえずのコメント

1.選挙の概要、注目点

(1)今回の大統領選挙では、9日の第一回投票前から、事実上カチンスキ、トゥスク両候補の一騎打ちとなっていた。両者は共に旧反体制派出身で中道右派に属し、今回は社会主義時代に連帯/旧共産系のどちらの陣営に属したかではなく、人物や政策で争う大統領選挙となった。

 

(2)当国の最大の課題は18%の失業率改善と、低所得者層の貧困問題解決であり、カチンスキ候補は社会政策重視、国家介入型の政策、トゥスク候補は自由市場支持の経済リベラルの立場を打出した。他方選挙戦がかなりの接戦となると、特にカチンスキ候補が「愛国的候補者像」を鮮明にして自己のイメージ作りを強化し、当国に根強いカトリック民族主義的な支持層の取込みを図ったため、トゥスク候補のより自由主義的な面とで争われることとなった。

 外交政策では、EU、NATO枠組みでの関係強化、対米関係強化、対独、対露関係の修復等、両候補の立場は概ね共通しているが、カチンスキ候補はより右派民族主義的な立場を出しており、その発言はロシアや独のプレスでは批判的に扱われることも多い。

 

(3)投票率の50.6%は、大統領選挙では過去最低だった第一回投票をと大差なく、再度国民の政治不信と無関心を示す結果となった。

 

2.当面の政局に与える影響

(1)現在、「法と正義」(PiS)と、第二党の「市民プラットフォーム」(PO)両党で、大統領の指名を受けたマルチンキェヴィチ首相候補(PiS)を中心に連立組閣交渉が続いている。大統領選挙期間中は作業がスムーズに進んでこなかったが、今回、次期大統領が決定し、カチンスキ候補も内閣の早期発足を訴えていることから、マルチンキェヴィチ首相候補が目標とする29日にも内閣が発足する可能性が高くなった。他方、PiSが国会選挙に続いて大統領選挙でも勝利したことで、自己の政策の実現を強く求めてくる場合、連立両党間での妥協が困難となる可能性も指摘されている。

(2)今次選挙戦では連立与党たるPiS、PO間でかなり非難合戦的な動きもあり、PiSと第三政党との別の連立の可能性も話題になったことを考慮すると、今後両党連立が実現しても、その安定性が保持されるか疑問という指摘も為されている。