ポーランド政治・社会情勢(9月21日〜27日)

 

1.選管、国会総選挙の最終結果を発表

 9月27日、選挙管理委員会は、9月25日の国会総選挙の公式結果を発表した。

(1)下院(定数460)(【 】内は現有議席)

 法と正義(PiS):155議席【46議席】、市民プラットフォーム(PO):133【56】、

 自衛:56【31】、民主左翼連合(SLD):55【148】、家族同盟(LPR):34【19】、

 農民党:25【40】、社民党:0(得票率4%)【32】、民主党(PD):0(得票率2%)【0】、 

 ドイツ少数民族党:2【2】。

 *下院議席獲得には全国得票率5%が足切りラインとなる。この条件は少数民族法規定の   

  少数民族の政党には適用されず、選挙区で多数票を獲得すれば議席獲得が可能となる。

 

(2)上院(定数100)

 法と正義:49【2】、市民プラットフォーム:34【3】、家族同盟:7【4】、自衛:3【3】、

 農民党:2【4】、民主左翼連合:0【58】、無所属:5

 *前回選挙では異なる政党グループが存在したため、現有議席の合計は100に満たない。

 

(3)投票率:40.57%【前回は46.1%】

   1989年以来最低の投票率となった。

 

2.ブレジンスキー元米国大統領補佐官の今回の選挙に関するコメント

 「今回の選挙結果は、民主主義的で、安定的かつ自己の信条に忠実な右派にとって大きなチャンスである。同時に、ネオ共産主義者の左派グループが消え去る大きなチャンスでもある。次のポーランドの課題は、右派と同様に、政治的信条に基づき、安定的で、本質的に民主主義的な左派が誕生することである。」

 

3.法と正義、マルチンキェヴィチ下院議員を首相候補に

 9月27日、選挙で第一党となった「法と正義」(PiS)のカチンスキ党首は、同党のマルチンキェヴィチ下院議員(下院国有財産委員長)を首相候補とし、連立相手の市民プラットフォーム(PO)と組閣交渉を開始したいと発表した。同党首はまたPOに対し、(1)下院議長はPOから出す、(2)副首相は一人とし、POから出す、(3)両党の閣僚配分は同数とする。ただし各省庁の「縄張り」配分は行わず、閣僚を出さない側は次官を出すなど、政策は両党合議で決める、(4)一部の省庁統廃合、新設、などを交渉の基本とする書簡を送った。

 カチンスキ党首は選挙前から「首相は第一党の代表者から」と述べており、選挙の勝利後は自ら組閣を行う発言をしていたが、突然この提案を行った。各紙はカチンスキ氏の態度豹変の理由として、(a)大統領、首相を双子の兄弟が占めるのは嫌われるため、弟(L.カチンスキ・ワルシャワ市長)の大統領選のために首相就任を止めた、(b)行政責任を直接追及される首相職を嫌った逃避の可能性有り、と論評している。連立相手のPOは、PiSは本当に内閣運営の責任を負う意図があるのかと疑問を出しつつも、取りあえず交渉には応じる構え。L.カチンスキ候補の大統領選敗北の場合の政局など、「マルチンキェヴィチ内閣」が成立するかはまだ不安定さが残っている。

 

4.国会選挙:エピソード集

○民主党から出馬したベルカ首相は、地元ウッジで12,774票を集め、「それなりに健闘」(ジェ

 チポスポリタ)した。民主党自体が足切りラインに達しなかったので議席は獲得できなかった。

○ワレサ元大統領の4男のヤロスワフ・ワレサ氏が、市民プラットフォームから出馬して当選、下

 院議員となった。得票は14,000票とまあまあだった。

○ワルシャワ選挙区から出馬した家族同盟(LPR)のギエルティフ党首は、最後まで当落が微

 妙で、「髪一重の当選」(ポーランド語では「紙」ではなくna wlosek”「髪」)と言われた。

○下院当選者の全国最多得票はPiSのジョブロ議員で17万1,129票、最少得票は「自衛」の

 ルチンスキ議員で2,366票。

○「FAKT」紙の挙げる著名な落選者:パストゥーシャク上院議長、オレクスィ元下院議長・元首

 相、ヤニクSLD院内総務、マゾヴィエツキ元首相、ヤギエリンスキ元副首相、シェミョントコフス

 キ元諜報庁長官、ポル元副首相、マチェレヴィチ元内相、ハウスネル前副首相、ベルカ首相

 ...

 

5.ポーランドの女子バレーボールチーム、欧州選手権で優勝

 9月25日、ポーランドの女子バレーボールチームは、決勝戦でイタリアを破り、初優勝した。選挙当日の日だったが、こちらのニュースにも相当関心が高く、「ここまで強いとは知らなかった」という声が目立った。11月には日本で開催される、各大陸優勝チーム等による「スーパー選手権」に参加する。

 

6.大統領、大統領選挙でボロフスキ候補支持を表明

 9月23日、クワシニェフスキ大統領は社民党の選挙集会に出席し、(チモシェヴィチ下院議長が立候補を取り止めたため)ボロフスキ社民党党首が唯一の左派の候補となったとして、同候補の支持を表明した。自党の候補が不在となった民主左翼連合では、昨年等を離脱したボロフスキ候補を「支持するか否かは党執行部会で決める」(ナピェルスキ書記長)と態度を留保した。