ポーランド政治・社会情勢(8月24日〜30日)
1.「連帯」発足25周年記念の行事続く
(1)1980年8月31日に、当時の自主管理労組「連帯」のワレサ委員長と、社会主義政権のヤギエルスキ副首相との間で「政労合意」が署名されことを記念し、「25周年」行事が開催されている。
「連帯」とその運動が果たした役割についても多くの議論が交わされている。全体としては、「連帯」運動こそ、後の「ベルリンの壁崩壊、チェコのビロード革命から、ソ連の解体、EUの大幅拡大と欧州統合」の発端となったと評価する向きが多い。一方では、市場経済となっても、高い失業率、低所得者層の生活苦、貧富の格差拡大など、労働者は「連帯」に裏切られた、とする不満もある。ワレサ元大統領についても大方はその役割を評価しているが、「連帯の分裂をもたらした」、「ワレサだけの連帯ではなかった」といった見解も、当の元連帯活動家から出ている。8月28日には、オルシェフスキ元首相らの下院会派「愛国運動」が、公式式典に抗議し、別に200名ほどで院内の会合を開催した。同会合には、「連帯」運動で著名ながらワレサ元大統領を強く批判するA.ヴァレンティノヴィチ女史らが参加した。
(2)主な関連行事は次の通り。
○8月28日:グダィンスク造船所でフランスの音楽アーティスト、ジャン・ミッシェル・ジャール氏の記念コンサート。ワレサ元大統領など10万人が参加。
○8月29日〜31日:シンポジウム「連帯から自由へ」。グダィンスクとワルシャワで開催。
○8月29日:国会で上下両院の記念合同総会
○8月30日:グダィンスク近郊のオリーヴァで、「連帯」労組記念総会
○8月31日:グダィンスク造船所前で、記念ミサ。(故教皇ヨハネ・パウロ2世の側近で、先般クラクフ大司教に任命されたジヴィシ大司教が司式)。
これらの行事には、31日の記念ミサを中心に、ドイツのケラー大統領、ウクライナのユシチェンコ大統領、ザーカシヴィリ・グルジア大統領、バローゾ欧州委員長らの各国要人、またハヴェル大統領などの旧社会主義諸国の反体制派指導者、ヴィエトナム、キューバ、ベラルーシ等の反体制活動家も参加している。
2.ベラルーシのポーランド人連盟が「総会」で「新会長」を選出
8月27日、ベラルーシのポーランド人連盟は、当局の強い関与の元で「総会」を開催し、ルカシェンコ政権に批判的なボリス現会長らに替わって、J.ウチニク氏を新「会長」に「選出」した。「総会」は、協会本部があり、多くの会員が居住するグロドノでは開催されず、ヴウォコヴィスクという町で、警官が見守り、異例にも現職閣僚数名が出席する中で開催された。ウチニク新会長は69才の年金生活者で、元小学校長。
トゥルシチンスキ・ポーランド外務次官は、「総会は全く民主的に運営されず、選出された執行部はベラルーシのポーランド人社会を代表するものではない」として今後協会を通じたポーランド政府からの支援は行わないと表明した。
3.下院、住宅資材のVAT還付法の大統領拒否権を否決。政府は燃料間接税の引き上げを示唆。
8月29日、下院は特別会期を開催し、住宅資材のVAT還付法に大統領が拒否権を発動したことについて、圧倒多数で覆した。これにより、同法は発効することになる。住宅資材のVAT還付法は、EU加盟前に住宅建設資材が税率7%であったのを、EU基準導入のため22%になったため、ミレル政権時に政府が補償措置を約束していたもの。政府は、この措置による歳入減を今後数年で45億〜180億PLNと見積もっている。グロニツキ財相は、財源確保のため、ガソリン、軽油等の燃料の間接税を平均1リットル当たり0.25pln引き上げる計画を示した。現在はガソリン1.60PLN、軽油1.00PLN。
ただし下院は財相発言に反発しており、現政府、現国会では実現困難なことから、問題は次期政権に持ち込まれ、立ち消えになる可能性もある。
4.ロンドン国際仲裁裁判所、PZUの株式売却契約不履行問題で、Eurekoの訴えを認める
8月26日、国際民事契約を管轄するロンドンの国際仲裁裁判所(LCIA)は、ポーランド最大の保険企業PZUの民営化に際し、オランダ籍の保険会社EUREKOが、ポーランド政府の株式売却の契約不履行を訴えていた件で、EUREKO側の勝訴判決を下した。今後は損害額の算定に入り、和解しない限り、ポーランド政府は同社に数十億ユーロの賠償金を支払う義務が発生する見込み。本件は数年前から係争中で、歴代内閣が有効な手を打てないまま時間が経っている。下院ではPZUの民営化そのものについての疑惑を審査する特別委員会が設置されている。