ポーランド政治・社会情勢(8月10日〜23日)

 

1.「自衛」の内紛。

 政党「自衛」では、レッペル党首周辺の党中央と、各県を中心とする地方組織の争いが深刻になっている。8月16日に締め切られた下院銀選挙の候補者名簿では、ルブスコ、シロンスク県では、現職下院議員が地元の推薦を受けながら、中央からの指令で名簿から削除されるといったこともあった。これらの地方では、「選挙で多額の寄付を義務付けられ、名簿はレッペル一派に乗っ取られた」と批判が出ている。レッペル党首は、「生きている限り私は「自衛」を指導する」と、妥協の構えを見せていない。シロンスクでは、選管に名簿提出を強行する党中央の派遣者に対して実力行使も起き、車のタイヤから地元活動家が空気を抜き、ソスノヴィエツなど一部選挙区での届け出を遅刻させたため、自衛の立候補が不可能になったところもある。自衛の支持率は2002年以来初めて10%を割る統計も出ており、内紛の影響が指摘されている。

 

2.炭坑夫特権維持の改正年金法に批判相次ぐ

 8月15日、クワシニェフスキ大統領は、坑内労働歴25年で年金が支給される炭坑夫の特権継続を認める年金法改正案に署名した。政府試算では今後数年間で約1000億PLN(2004年歳出総額の約50%)という、過大な財政負担が見込まれており、ベルカ首相は、「大統領はチモシェヴィチ候補の(選挙戦)応援という、政治的選択をした」と批判した。バルツェロヴィチ中銀総裁は、高額な社会保障負担が継続し、経済の活性化を妨げると強く批判した。各紙では、大統領が、住宅建設資材のVAT税率引き上げ補償措置法に拒否権を発動したのと比較し、「炭坑夫の暴動には折れた」と批判している。

 

3.8月31日「連帯の日」、10月16日を「教皇ヨハネ・パウロ2世の日」に

 8月12日、クワシニェフスキ大統領は、8月31日を「連帯の日」、10月16日を「教皇ヨハネ・パウロ2世の日」とする法案に署名した。「連帯の日」は、1980年のヤギエルスキ副首相とワレサ自主管理労働組合「連帯」委員長との「政労合意」を記念したもの。10月16日は、1978年の同日に前教皇が選出された日で、共に休日扱いとはならない

 

4.チモシェヴィチ大統領候補の疑惑問題

 8月19日、チモシェヴィチ大統領候補は検事局に自ら参考人として出頭し、外相当時の2001年末時点で提出した資産報告書の件について、約9時間にわたって聴取を受けた。同候補は、検事局からは具体的な嫌疑はなかったとし、大統領候補の活動を継続すると述べた。

 チモシェヴィチ候補はこの資産報告書に、所有していた石油会社オルレンの株式約50万PLN相当(約1,500万円)を記載していなかった。同候補はこれを技術的過失とし、下院オルレン問題特委は故意の隠蔽としている。また、当時のヤルツカ外相秘書室次長は、資産報告書の改竄を同候補から命じられたと主張しており、同候補側は虚偽の中傷だとして検事局に通報している。

 8月23日、検事局はチモシェヴィ候補側の要請に応じ、2001年の資産報告書3通を公開した。チモシェヴィチ候補は、「1通しか作成していない」と発言していた。これらにはいずれもオルレン株について記載が無く、チモシェヴィチ陣営では、これを以て「改竄の事実は無く、単なる過失と立証された」としている。ただし報告書では、同候補が保有していたコンサルタント会社BMC社の株式記載漏れが新たに発覚した。更に、チモシェヴィチ候補は証人喚問でBMC株式の売却は外相就任(2001年10月)と証言していたが、実際は翌年4月だったことも判明した。

 チモシェヴィチ陣営ではこれら全てを「技術的な誤り、記憶違い」としているが、オルレン特委では「明らかに虚偽を含む」としており、一部新聞では「50万PLNもの金額について、少なくとも7回も思い違いをしていた大統領候補」としている。

 

5.ロシアとポーランドで両国市民に襲撃。大統領間で対策強化を合意

 8月15日、クワシニェフスキ大統領はワルシャワとモスクワでの一連の外交官、ジャーナリスト襲撃事件について、「両国関係の急進化をもたらすべきではない」と述べた。7月末にワルシャワでロシア大使館職員の子弟3名、続いてモスクワでポーランド外交官2名、ジェチポスポリタ記者1名が集団で路上襲撃された事件が続き、両国のマスコミで大きく取り上げられていたことに言及したもの。クワシニェフスキ・プーチン両大統領は8月12日に本件で電話会談を行い、警戒の強化で一致、その後の発生に歯止めがかかっている。

 

6.EU共通の緊急電話番号112、9月1日から「一応」全国で実施

 政府は、EU諸国で警察、消防、救急車などの緊急事態の無料共通番号である「112」を、9月から全国で実施すると発表した。これまでポーランドでは、「112」には携帯電話からのみ通話可能で、しかも一部地域に限定されるなど、EU内で完全実施が遅れた唯一の国となっていた。原因として、特に内務行政省、インフラ省など官庁間の調整の遅れが指摘されている。

 ただし内務行政省等では、112は原則外国人用とし、ポーランド市民は従来の997(警察)、998(消防)、999(救急車)を使用するように呼びかけている。実際、「112」では担当者の不慣れたらい回しにされ、手当が手遅れになった例が報道されている。

 

7.ベルカ首相、民主党から下院議員に立候補

 ベルカ首相は、選管への名簿提出期限の最終日である8月16日に、民主党(PD)からウッジ選挙区の名簿第一位で立候補することを決定した。同首相は政界からの離脱も希望しており、2かいに渡って決定を延期したが、最終的に民主党側からの説得に折れたと言われる。同首相は、2月に民主左翼連合(SLD)を離脱し、4月の民主党の設立に関与していたが、首相の立場からこれまで入党していなかった。

 同日、SLDは、正式にベルカ内閣への支持を撤回し、ただし同党出身の4閣僚は残留すると発表した。

8.キノコが数十年ぶりの豊作

 気温の変動差が激しい夏は、キノコが豊作と言われる。23日付のFAKT紙は、ポズナニ近郊でこの季節に長年キノコを採ってきた E.Grewling氏は、息子と共に、Borobik(ヤマドリタケ)など、5時間で60キロという記録的なキノコの収穫があったと紹介した。夫人は「これから乾燥させて保存するけど、これだけあれば1年中スープやビゴスに使える」と喜んでいる。

 

9.「プラハはもう古い!?」。クラクフも旅行者の群れが占領

 チェコのプラハでは観光客が過大で、渋滞や犯罪など社会問題になりつつあると言われているが、クラクフも外国人観光客の注目を集めている。昨年比で約23%の外国人観光客が増加し、今年1年で約200万人に達する見込み(日帰りを除く)。

 特に多いのはドイツ人とイギリス人の観光客で、「史的建造物にあふれ、緑も多く、各国料理がとても安く食べられ、ヴィエリチカ塩鉱博物館やカジメシュ地区もある。」と好評だ。ドイツでは、週末利用のクラクフ旅行が流行し、「美容院も安いし、木製チェスなどの土産物もドイツにに比べてはるかに安い。」といった感想も。