ポーランド政治・社会情勢(7月27日〜8月9日)

 

1.大統領、国会選挙:チモシェヴィチ候補が後退

 8月8日、ジェチポスポリタ紙は、大統領選挙の世論調査結果を発表した。それによると、市民プラットフォーム(PO)のトゥスク党首が躍進して支持率24%でトップ、以下カチンスキ・ワルシャワ市長が22%、前回30%以上を獲得して首位だったチモシェヴィチ下院議長が21%と3位に落ち込んだ。4位はレッペル「自衛」党首の15%。

 同紙では、トゥスク候補の急伸は地方等での選挙キャンペーンが効果を挙げ始め、チモシェヴィチ候補の落ち込みはオルレン特委での株取引疑惑が要因と分析している。

 政党支持率は大きな変化はなく、第一党が法と正義(PiS)で24%(推定議席136)、以下PO23%(同131),「自衛」14%(79)、民主左翼連合(SLD)10%(58)、家族同盟(LPR)10%(56)で、社民党など他の政党は足切りラインの5%を越えられなかった。

 

2.政府、2007年のシェンゲン条約加盟が困難と認める。

 8月5日、内務行政省は、シェンゲン条約加盟のための準備が遅れており、2007年の加入は困難と事実上認めた。シェンゲン条約は、2004年の拡大前のEU加盟国(イギリス、アイルランドを除く)と、アイスランド、ノルウェーが現メンバーで、加盟国間では国境審査を廃止している。EUの新規加盟15カ国は、2007年春の同条約の適用準備を進めているが、ポーランドでは警察、国境警備隊と司法機関相互を結ぶ「ネットワーク SIS II」の整備が遅れているため、難しくなっている。

 

3.チモシェヴィチ下院議長、オルレン特委で株取引の疑惑発覚

 7月31日、石油会社オルレンの原油調達疑惑と政府の関与などを調査している下院オルレン特委は、チモシェヴィチ下院議長を証人として喚問した。その際、同議長が2000年に相当のオルレン株を購入、2002年に売却し、売却益25万PLNを得た件で、同議長が議員の資産公開報告書に記載していなかったことが追求された。同議長は、本件は過失であり、株の売買は米国在住の娘夫妻の代理でやったものだと説明したが、委員会側は納得せず、虚偽申告として検事局に通報を決定した。9日、同議長は記者会見を開き、改めて過失だったと説明し、これは大統領選挙関連の政治的攻撃だと主張したが、疑惑は収まっていない。

 

4.ノーマン・ディヴィス氏、ワルシャワ蜂起連盟名誉会員に

 7月29日、ワルシャワ蜂起連盟(ZPW)は、英国の歴史家ノーマン・ディヴィス(Norman Davies)氏を、「蜂起44’」の出版等による功績で名誉会員に任命した。同氏は、オックスフォード大学卒業後、ヤギウェウォ大学で博士号を取得し、サセックス大学、ロンドン大学教授等を務めた。「神の競技」、「ヨーロッパの心臓」などのポーランド史についての著作は、その深い認識と質の高さから、西側でのポーランド史の認識を高めた。ポーランド民族の歴史に対する高い評価でも知られ、ポーランドに於ける外国人オピニオン・リーダーの代表的な人物として、1999年には勲章も授与されている。今回の任命には、ベルカ首相、カチンスキ・ワルシャワ市長もその功績を讃えた。

 

5.ベラルーシの状況

 7月27日に在ベラルーシ・ポーランド人連盟でボリス会長らが警察に連行され、ルカシェンコ大統領系のクルチコフスキ前会長が同同盟の本部に入って以来、ベラルーシ当局は機関紙編集長を逮捕するなど圧迫を強めている。ポーランド政府は、パヴラク駐ベラルーシ大使を協議のため無期限召還し、ベラルーシ語の自由ラジオ放送の設置を支援するなどの動きを見せている。ただしベラルーシに対する経済制裁は予定していない。

 諸外国でも、欧州委や米国はベラルーシの対応を非難する報道官声明などを発表している。8月1日にはトゥスク下院副議長・市民プラットフォームが現地を訪れて激励するなど、ポーランドで支援の動きが強い。一方、8月8日には、現地入りしようとしたサリウシュ=ヴォルスキ欧州議員らの一行が国境で理由もなく入国を拒否されるなど、アクセスが難しくなっている。

 

6.国会、炭鉱労働者の早期年金入り特権法等を可決

 7月29日、上院は下院を通過した年金法改正案を無修正で可決した。炭鉱労働者が地下労働25年で年金を受給できる特権は、無期限維持される。同種の特権が認められてきた鉄鋼労働者、鉄道員、漁船員、教員などについては、特権の延長を2007年までとし、それ以降は原則特権を廃止、ただし5年間の前倒しと特別手当支給制度で対応する。この手当支給は社会保険公社(ZUS)と国が全額負担するものではなく、雇用者にも一部負担を求める内容。

 法案は炭坑夫だけを完全に例外扱いするもので、26日に起きた炭坑夫の抗議行動と要求に応じた形となった。炭坑関係者は、クワシニェフスキ大統領の早期署名を要求している。経済労働省では、本件は将来にわたって重大な財政圧迫の要因になると警告している。

 

7.中銀、公定歩合を再度0.25%引き下げ。

 7月29日、ポーランド国立銀行(NBP)は、通貨政策評議会(RPP)の決定を受け、公定歩合を0.25%引き下げて、4.75%とすることを発表した。引き続き物価が安定的で、成長刺激が必要と判断したことによるもの。公定歩合は今年年初から計1.75%引き下げられ、過去最低の水準になった。