ポーランド政治・社会情勢(7月20日〜26日)
1.炭坑労組、年金制度の特権維持を要求し、国会前で抗議行動。警官隊と衝突
7月26日、シロンスク県等の炭坑労組は、炭坑労働者に認められている25年就労後の年金受給権利などの特権の維持を要求し、ワルシャワの国会前で抗議行動を行った。約5000名が参加し、警官隊への投石やツルハシでの殴打など暴力行為に発展、警官37名が負傷、約70名が拘束された。内20名は泥酔状態だった。
炭坑従業員は、鉄鋼労働者や教員などと同様に、社会主義時代からの特別措置として、勤続25年で年金の受給資格が発生する。ポーランドの年金受給開始年齢は、男性65歳、女性60歳だが、各種制度から5年程度前倒しして年金生活者入りするケースが多く、財政負担が大きいため重要な問題になっている。炭坑労働者はこの特権が更に手厚く、18歳で就職すれば43歳で年金生活入りが可能で、実際に相当数がこの制度を利用している。現行法は2006年末が期限となっているため、炭鉱労働者は延長を要求しているもの。
政府は無期限延長に反対で、特権を原則廃止し、ただし55歳の時点で坑内労働に従事している者に仮年金資格(ブリッジ年金)を与える法案を提案している。炭坑労組は、「過酷な環境で多くの坑夫が60歳未満で死亡している」として同提案を拒否。独自に法案を国会に上呈していた。
今回の抗議行動と労組・下院との協議で、結局下院は政府案よりも労組案を審議することとし、事務職や地上勤務者は除外する点だけが修正され、可決される可能性が高くなっている。
2.ベラルーシ当局、ポーランド人連盟に対する圧迫を強化。外交関係も緊張
7月27日、在ベラルーシ・ポーランド人連盟(本部グロドノ市)では、「最高評議会」を開催し、3月に選出された、反ルカシェンコ大統領系のボリス会長らの「臨時解任」を決議した。その後、ベラルーシ警察は協会本部にいた同会長らを強制排除、警察に連行し、取り調べを行った。同会長らは数時間後に釈放されたが、28日にも対立が続いている。
この最高評議会では、議員35名中13名しか出席しておらず、その中にはルカシェンコ大統領に忠実な前会長クルチコフスキ氏などがおり、一方的決定の色彩が濃く、8月27日には再度連盟の大会を開催し、当局に反抗的な現執行部の「正式」排除を計画している。ワルシャワのベラルーシ大使館前では、青年グループなどが「ポーランド民族の自由を守れ」などと抗議の気勢を上げた。
ポーランド人連盟は、3月の執行部交代以来、ルカシェンコ大統領の独裁体制の中で、ベラルーシではほとんど唯一自由化など反体制を明確にする団体となっていた。当局は執行部個々人に対する圧迫や、機関紙の事実上の発禁、支援するポーランド政府への抗議、外交官追放、ポーランド大使館の「スパイ活動」を名指しで批判するなどの動きを続けてきた。ポーランド外務省は外交官の相互追放や、ベラルーシ当局に対する非難声明などで応じている。ベラルーシは人口約1,000万人で、非公式統計では内約80万人がポーランド系と推計されている。
3.国連人権委、リトアニアの、氏名のリトアニア語強制標記は人権侵害と判断。
7月22日、国連人権委員会は、リトアニアで、官公庁や学校、職場等で氏名のリトアニア語標記が義務付けられているのは人権侵害と判断した。この判断に強制力はないが、既にアダムクス大統領も改善を約束しており、事態解決が期待されている。
リトアニアでは、リトアニア語で用いられない「w」、「sz」、「Ó」、「cz」などの文字は使用が禁止されている。今回の訴えは、ポーランド系のMichal
Kleczkowski氏が、Michalas Klečkovskisと標記を変えなければ違反となるとされたことに抗議し、国連に訴えていたもの。
4.リヴィウ近郊のフタ・ピェニャツカ市に、大戦中のポーランド人虐殺碑の建設決定
7月22日、10年間の交渉の末、ウクライナ政府は、ポーランド政府の「闘争・犠牲記録保全評議会」の本件記念碑建設提案に同意した。この碑は、1944年2月28日に、約1,200名のポーランド人が、ガリツィア・ナチス親衛隊(SS Galizien)に殺害された事件で、虐殺にはドイツ軍とウクライナ人部隊が加わっていた。これまで地元の反対が強く、交渉が続いていたもの。
5.オルレン疑惑で初の訴追か
7月23日、石油会社オルレンの一連の疑惑を捜査しているカトヴィツェ検事局は、国内保安庁(ABW)の元捜査部長であるビェシンスキ氏に対し、職権濫用、モドジェイエフスキ・オルレン元社長の違法逮捕指揮等の容疑で任意聴取を行った。ビェシンスキ氏は聴取の直前にABWを辞職したが、容疑は否定した。検事局は今後容疑は他の人物にも拡大する可能性が有ると指摘している
モドジェイェフスキ元社長は、2002年2月、キプロス籍の露J&S社が独占的にオルレンに原油を調達供給する契約の調印直前に逮捕された。この事件はオルレンに対する政治家の関与など、疑惑の中心となっており、ビェシンスキ氏はカギを握る人物と言われている。