ポーランド政治・社会情勢(7月13日〜19日)

 

1.バイオ混合燃料(ガソリン+植物エタノール)、市場へ

 経済労働省は、2003年10月に制定されたバイオ燃料法に基づき、品質基準等に関する実施省令を近く制定すると発表した。EUでは、環境対策の点から、液体燃料総量の内、バイオ燃料分を2005年で自動車用液体燃料の2%、2010年で5.25%とする指令がある。ただしポーランド政府はこの指令には強制力は無いとし、ポーランドは当面目標を0.5%に設定する見込みで、欧州委からの批判が避けられそうもない。

 (植物から作られるアルコールであるバイオエタノールの燃焼ガスは、化石燃料と異なり、元々植物が大気中から摂取した二酸化炭素を輩出するため、温室効果ガスを増加させないとされている。

 ポーランドでは、2002年、農民党(当時政府与党)がバイオ燃料法制定を推進した際、全液体燃料に一定割合でバイオ燃料を強制的に混入させる内容を提案した。この法案には、自動車メーカー等からも、エンジンに悪影響があり保証機関等の見直しが必要になるなどの批判が続出、大統領が拒否権を発動して廃案になるなど、大きな政治問題となった。今回実施される法律はこの点を改善したもので、バイオ混合燃料には表示義務が課され、選択は消費者次第となる。ポーランドでは、主として過剰生産の菜種から作るアルコールを混入用のバイオ燃料にする見込み。)

 

2.法と正義、市民プラットフォーム、下院選挙候補者名簿を決定

 7月15日、法と正義(PiS)と市民プラットフォーム(PO)は、国会選挙の下院候補者名簿を決定、発表した。両党とも、これまでの議員の活動を高評価し、現職議員はほぼ名簿1位に並んでいる。

 POではピスコルスキ前ワルシャワ市長(欧州議員)の派閥が、ワルシャワ選挙区でのグロンキェヴィチ=ヴァルツ元中銀総裁の名簿1位を批判したが、他の代議員から支持を得られず、執行部の原案通りとなった。両党は、上院候補者名簿は共同で作成する予定。なお、PiSはビジネス界からのリクルートはほとんどゼロで、POではルブリンの「ジュブルフカ王」パリコット氏などが候補者に入った。

 

3.SLDも選挙候補者名簿を確定。元最高幹部(の一部)を排除。

7月18日、民主左翼連合(SLD)は、9月の総選挙に向けて下院議員候補者名簿を採択した。オレイニチャク党首の執行部は、前回選挙(2001年)以来の支持率低下の責任を問うとして、オレクスィ、ミレルの両元党首らを名簿から外し、上院なら立候補を容認すると決定した。ヤニク院内総務、シマイジンスキ国防相はミレル内閣で閣僚だったにも拘わらず名簿1位での立候補を認められ、オレイニチャク執行部が自らの人脈で体制を固めた形となった。一方、上院では社会主義政権の最後の党第一書記・首相であるラコフスキ氏の立候補がほぼ決定した。

4.新制度の大学入試で不公平感

今年から導入された新・大学入学資格試験(マトゥーラ)を巡って、各地で不満が出ている。去年まではマトゥーラは各県別で実施、大学入試では資格試験として扱われ、各大学は入学試験を独自に行っていたが、新制度では日本のセンター試験のように入試にマトゥーラの成績がかなり反映されるようになった。

 人気の高い国立ワルシャワ経済大学(SGH)では、社会では地理、歴史から1科目選択となっているが、受験学生の平均点が地理で72.5点、歴史が46.4点と25点以上も差がつき、歴史選択者には合格が不可能に近くなっている。原因は問題の難易度の差と指摘されている。各大学でも似た状況が起き、SGHやワルシャワ大学では、国民教育省に対し、科目間の問題難易度の標準化を要請したが、国民教育省は逆に各大学の入試方法の再検討を要請し、問題解決が宙に浮いている。

 

5.ボロフスキ社民党党首、大統領選立候補を取り止めず

 大統領選挙に立候補を表明しているボロフスキ社民党党首の支持率は約2%と低迷し、一方チモシェヴィチ下院議長・大統領候補の支持率が約30%となっている。7月15日、チ候補とオレイニチャクSLD党首は、ボ候補に対し、左派の分裂を防ぐため立候補を取り止め、チ候補支持に回るべきだと説得し、更に社民党内でもナウェンチ副党首が、チ候補への一本化支持と選対本部長の辞任を表明した。ボロフスキ候補は「名誉を重んずる」として立候補断念を拒否しており、社民党の国会選挙での支持率は却って上昇した。

 

6.下院幹部会、チモシェヴィチ議長の申請認めず。26日にオルレン委で再度証人喚問

 7月15日、下院の正副議長で構成される幹部会は、7月8日にチモシェヴィチ下院議長がオルレン特委のほぼ全委員の解任を要求し、証言を拒否した問題で、同議長は当日宣誓を行っており、事後の本要求は無効との判断を示した。このため、同議長は7月26日に再度喚問されることになった。

 

7.中古自動車輸入で走行距離メーターの不正訂正が慢性化

 7月5日付のポーランド語版Newsweekは、昨年5月のEU加盟以来、ポーランドには約120万台の中古車が輸入され、内約半数が未登録(未販売)となっている(インフラ省統計)が、中古車業界ではODOメーターの不正操作が常態化し、車種によるが1台当たりの「手数料」は150〜500PLNが相場で、ネット上の広告も多いと報道した。警察では、操作機器の生産・販売自体は合法なのが蔓延の一因、としている。