ポーランド政治・社会情勢(6月8日〜14日)

 

1.欧州議会選挙

○13日、ポーランドでは初の欧州議会選挙の投票があった。

投票結果は次の通り。

(1)投票率:20.9%

(2)政党別得票率及び議席(全54議席)

 市民プラットフォーム(PO)          24.1% 15議席

 家族同盟(LPR)                15.9% 10議席

 法と正義(PiS)         12.7%  7議席

自衛                      10.8%  6議席

 民主左翼連合―労働同盟連立(SLD―UP) 9.3%  5議席

 農民党(PSL)                           7.3%  4議席

 自由同盟(UW)              6.4%  4議席

 社民党(SDPL)               5.3%  3議席

  *全国得票率5%が議席獲得の足切りライン

 

○まず投票率の低さが注目される。これはポーランドだけでなく、マルタ、キプロス以外の新規加盟国全般に共通しており、平均投票率は約25%だった。ちなみに最低はスロヴァキアの17.0%で、ポーランドは下から二番目だった。

低投票率の原因としては、(a)政治そのものに対する関心の低さ、(b)欧州議会に対する認識不足と関心の低さ、(c)国内選挙の前哨戦という色彩が濃く、選挙戦に盛り上がりを欠いた、(ニ)争点が欧州憲法条約や今後のEU拡大など国民生活と関係が薄かった、(ホ)国民はEUの行事だからといって特に高い関心は示さなかった、などが挙げられる。またポーランドでは、英独などと違って他の国内選挙との同時投票は実施されず、一部既加盟国のような投票の義務化もないといった制度的要因も挙げられる。

 低投票率を記録したことで、ポーランドは加盟直後に拘わらずEUに対する関心が低い、と言うイメージがEU内に広まるのを懸念する論調が多い。EUに対する国民の関心の低さが課題となっている。

 

○選挙結果はほぼ世論調査による各党支持率と同じで、事前の予測と大差はなかった。ただEU懐疑派である家族連盟が躍進し、第二党と予測されていた自衛が伸び悩んだことが注目された。家族連盟の躍進は、支持母体の「ラジオ・マリヤ」の固い組織票に支えられ、食肉、砂糖等の値上げこそ「EU効果」と見るような低所得者層の支持が集まったためと見られている。「自衛」の伸び悩みは直前の拙劣な選挙戦術が響いた。

 

○主な当選者は次の通り

 ブゼク元首相、レヴァンドフスキ元国有財産相、ピスコルスキ元ワルシャワ市長、サリユシュ・ヴォルスキ元欧州統合庁長官、ギェルティフ下院議員(ギェルティフ家族同盟党首の実父)、カミンスキ下院議員、チャルネツキ元欧州統合庁長官、シヴェツ大統領府安全保障局長官、リベラツキ元運輸相、ゲレメク元外相、クワコフスキ元EU加盟交渉全権、ヴォイチェホフスキ農民党党首、クジミュク同院内総務、ロサティ元外相など。

 

2.クワシニェフスキ大統領、ベルカ首班内閣を再任

11日、クワシニェフスキ大統領は、ベルカ内閣を再任した。前任者の病気辞任でハウスネル副首相が代理を勤めていた保健大臣には、チャカィンスキING銀行シロンスク頭取が任命された。これ以外は、全閣僚が留任した。

○憲法上、ベルカ内閣は14日以内に下院の信任を受けねばならない。オレクスィ下院議長は、初めは信任投票を期限最終日の6月25日とし、次に16日と変え、14日には再度24日の可能性が高いと述べている。おそらく24日となると見られる。

○ベルカ内閣は5月の第一回投票で約70票の大差で不信任となった。この差を逆転するのは容易ではなく、このまま行けば解散、総選挙の可能性も高い。

現在、ベルカ首相は社民党をターゲットに多数派工作を行っている。社民党は、「ベルカ内閣発足は支持する。ただし任期は秋まで。」を条件としており、2005年予算成立まで(来年1月)の任期を主張する与党と対立している。しかし、ベルカ首相は14日に「支持されれば10月の内閣信任投票を約束する」という妥協案を提示した。社民党が全員賛成に回れば数票差に迫ることになり、ぎりぎりまで調整が続く見通し。

 

3.政府、来年度予算基本方針を策定

○9日、ラチコ財務相は2005年度予算の基本方針について述べた。その概要は次の通り。

・GDP成長率5%

・個人消費の伸びは4.0%(2004年度予測4.3%)。投資の伸びは10.8%(同8.3%)。

・インフレ率2.8%

・雇用は1%増

・一般歳出2,072億pln(△3.7%)。歳入1,684億pln(△9%)。

・財政赤字は388億pln(対GDP比4.1%。今年度より65億pln削減)

なお、いわゆるハウスネル・プラン関連法が国会を通過した場合、更に35億pln程度の歳出削減が可能であり、赤字額は350億plnとなるとされている。