ポーランド政治・社会情勢(6月1日〜7日)

 

1.大統領選挙

(1)ボフニャシュ氏、民主党大統領候補に

6月4日、ボフニャシュ・ポーランド雇用者連合会長(ポーランド・日本経済委員会代表)が、民主党からの大統領選挙立候補を表明した。民主党では、これまでマゾヴィエツキ元首相、ゾル人権擁護官などの名が候補として上がっていたが、マゾヴィエツキ元首相がボフニャシュ氏を推薦したと言われている。ボフニャシュ候補は、雇用の拡大や、行政の効率化などを公約に掲げている。

*ヘンリカ・ボフニャシュ氏:米ミネソタ大学で農業経済を専攻。1990年にNicom Consultant社を創設し、財界各方面で活躍。1991年にビエレツキ内閣時の商工相(当時)に就任。現職ではポーランドの民間財界のスポークスマン的存在も務める。

 

(2)大統領、チモシェヴィチ下院議長の大統領選立候補を説得へ

クワシニェフスキ大統領は、チモシェヴィチ議長の政界引退と、大統領候補辞退の決定の撤回を呼びかけている。大統領によれば、同議長は「最良の大統領候補」であり、欧州憲法条約の動向など、EU統合で不透明感が増す中、欧州拡大を支持し、国際関係に造詣が深い人物が大統領にふさわしいと訴えている。また、与党民主左翼連合(SLD)でも立候補の署名集めが進んでいる。チモシェヴィチ議長自身は、「現時点では辞退の決断を変えるつもりはない」とする一方、「政治に絶対はない」などと含みを持たせている。

正式には、6月18日に予定される民主左翼連合の代表者会合で決定され、現在は同党の候補とされているシマイジンスキ国防相も、チ議長が立候補を受諾するなら辞退する見込み。

 

2.憲法条約の支持率が急落

 EU憲法条約は、フランスとオランダの国民投票で否決され、イギリスでも批准手続が延期されたことで、先行き不透明感を増している。クワシニェフスキ大統領と政府、与党は、予定通り10月9日の大統領選挙の第一回投票日に国民投票を実施する構えだが、ここに来て同条約の支持率が急落した。

世論調査機関のPBSでは、EU憲法条約の「賛成」は5月に60%だったのが6月7日の電話調査では、賛成40%、反対35%、「判らない」25%と賛成が急落した。他社の世論調査でも同じような結果が出ている。原因は、これまでの高支持率も、EU加盟の利点から、欧州統合自体への期待を表明したもので、条約そのものの中身を理解した支持ではなかったこと、従って、フランスやオランダで否定的な見解が出ると、今度はその方向に引っ張られ、「賛成」が一挙に疑問に転じてしまったのでは、と見られている。

6月17−18日には定例の欧州サミットが開催される。ここでEU憲法条約の今後も話し合われるが、下院で国民投票の実施決議案が審議されるのはその後になる。頼みの綱の支持率の低下は、大統領や政府・与党に大きな痛手となった。もし国民投票で否決の見込みが強まると、ほとんど全野党が反対している議会での批准の可能性は非常に厳しいため、ポーランドは第3の「no」の国、になりかねない。

 

3.大統領、国連事務総長への立候補を否定

6月5日、クワシニェフスキ大統領は記者質問に答え、現時点では国連事務総長への立候補の意図は無い。国連では現在の事務総長が機能している、とのみ発言した。

 

4.マトゥーラ終了、試験結果発表が6月27日で受験生から不満

 これまでの県別試験から、始めて全国統一試験となった大学入試資格試験(マトゥーラ)の全日程が終了した。今までの悪癖からカンニングが多く、国民教育省では厳しい姿勢で臨むとしている。

また、試験結果の発表は6月27日となったが、一部大学では受験者受付を6月中旬に実施・締め切るため、点数が判らないままでの申請を強いられる受験者は困惑している。しかも受験料が80plnと比較的高額なため、経済的にも負担と訴えている。

 

5.前教皇の秘書、クラクフ大司教に、

 6月3日、教皇ベネディクト16世は、前教皇ヨハネ・パウロ2世の個人秘書のジビシ大司教を、クラクフ大司教に任命した。マハルスキ現クラクフ大司教は高齢のため辞意を表明しており、この人事で教皇に感謝した。

 ジビシ大司教は前教皇のクラクフ司教時代から(1966年〜)の秘書で、常に行動を共にしてきた。マハルスキ大司教は一般に人望があり、クラクフでは良き後継者を歓迎している。

 

6.ベルカ首相、重油等の間接税引き上げ令取り消しを指示

 6月4日、ベルカ首相は、グロニツキ財務相に対し、重油と容器入りLPGの間接税を大幅に引き上げた、5月31日付の財務大臣令の破棄を命じ、見直し案の作成を指示した。

 重油と容器入りLPGは、軽油とスタンドでのLPGと大幅に税率が違うため、不法精製目的の重油輸入や、虚偽販売、脱税など、犯罪の温床となっている。今回の財相の措置はその是正を目的としたもので、税率は重油では現行の1リットル/0.23plnを1.03plnに引き上げることになっていた。予測では、価格は現在の1リットル約2plnが3plnへと一挙に50%程度上昇すると見られていた。

 事前の説明不足や、学校や一般家庭用の使用分などの控除措置も設けなかったことから、下院財務委員会ではこの措置に批判が相次ぎ、与野党が揃ってグロニツキ財相の不信任案を検討する事態となっていた。ベルカ首相は税率の引き上げ自体の必要性は強調する一方、少なくとも8月1日までは税率を変更せず、詳細に検討させるとしている。