ポーランド政治・社会情勢(5月18日〜24日)
1.相次ぐ警察不祥事で内務行政省担当次官が解任
5月25日、ベルカ首相は内務行政省のブラフマィンスキ次官(下院議員。民主左翼連合(SLD))を、「一連の警察不祥事に対する政治的責任」を理由として解任した。同23日に辞任を申請していたカリシュ内務行政相は留任となった。
警察では、(1)中央捜査局(CBS)ウッジ支部員が、犯罪組織から押収したコカイン20キロ、ヘロイン25キロ(末端価格約300万ドル)を横流し、売却した疑い、(2)CBSポズナニ支部が麻薬関連の捜査情報を漏洩した疑い、(3)クルク元カトヴィツェ県警本部長が非合法燃料販売組織に捜査情報漏洩・汚職で逮捕、などの不祥事が相次いでいる。これに加え、5月23日、ガゼータ・ヴイボルチャ紙がワルシャワの中央警察本部職員がトラック強盗と盗品(エアコン、武器)売買に関与しているという記事を掲載し、検事局が事実関係の調査を行っている。
2.市民プラットフォーム(PO):ギロフスカ副党首が離脱
5月21日、次期政権与党と目される市民プラットフォーム(PO)のギロフスカ副党首は、離党を表明した。同副党首は、地元ルブリン県の次期下院議員候補者リストの序列第一位に長男が掲載、議員事務所に長男の妻を雇用、長男に有料で党の法務調査を委託したことなどから、縁故優先との批判があった。同20日には党執行部が本件を党員評議にかけるとしたため、ギロフスカ副党首はこれに全面的に反論し、自ら離党したもの。
議員事務所での近親者雇用などは、SLDや他の野党ではむしろ常態化しており、本件は果たして責任追及に値するほどのものかという批判もある一方、矜持を示したものとして歓迎するむきもある。女性で有能な看板副党首を失ったことで、POはダメージを避けられない可能性が高い。
3.各大学でロシア学科人気。ウッジ大学では十数倍の競争率
第二次大戦時の歴史解釈などを巡って、ポーランド・ロシア間で論争がある中、各大学の入試ではロシア語関係の学科の人気が高まっている。ウッジ大学ロシア学科では十数倍の競争率となっている。
ポーランド・ロシア間では、大型国家プロジェクトが頓挫する一方、貿易関係などが急速に伸びており、若い人にとっては政治よりも、経済の活性化が刺激になっている。実際、最近の傾向として外国語は「英語+1」が就職に有利とされ、ロシア語はむしろ独語や仏語の需要を上回っていると言われる。
4.フランスの欧州憲法条約批准否決で、ズウォティが急落?
5月20日、ドイツ銀行のN.ワルター主任経済研究員は、5月29日のフランスの国民投票で欧州憲法条約の批准が「NO」となれば、EU、特に新規加盟国の投資先としての安定性が先行き不安となり、通貨相場が急落する可能性があると指摘した。
5.ポーランドの年間失踪者は約20,000人。
5月19日、内務省警察本部は失踪者統計を発表した。これによると、行方不明者は年間約20,000人で、その内、生存、または遺体発見率は約3分の1となっている。
2003年の例では、失踪者は19,927名で、その内7歳未満が177名、7歳〜17歳が5,680名となっている。帰還者は3062名、遺体発見が196名であり、他の約17,000名は失踪したままとなっている。失踪状況はまちまちで、子供の中には20分ほどの間に姿が見えなくなり、そのままになった例もある。
6.次の聖体節(5月26日)からポーランドでも聖餅を手で受け取るのが可能に
ポーランドのカトリック司教団は、これまで聖体拝領時の聖餅付与を舌だけの拝領に限っていたものを、手で受け取るのも認める方針を決めた。来週(5月26日)の聖体節(*)から実施される。西側では既にかなり前から認められていたもので、舌での拝領の限定は、ポーランド・カトリックの保守性の例とされていた。
*聖体節:所謂「最後の晩餐」で、イエスは「パンは私の体、ワインは私の血と思って喫しなさい」と述べ、弟子達にパンと赤ワインを少しづつ与えた。キリスト教ではこれにちなみ、イエス・キリストと一致し、霊魂の糧とするため、パン(聖餅)とワインを喫する儀式を、イエスの体「聖体」の受容=聖体拝領としている。
聖体拝領自体は日常的に行われるが、特に意義を強調するため、1264年に教皇庁が聖体節を制定した。復活祭から50日目の日曜日(聖霊降臨日)の次の木曜日と定められており、復活祭が移動祝日(春分後の初満月後の日曜)のため合わせて毎年移動する。ポーランドでは、満9歳で始めて聖体拝領が可能となるため、この時期に女の子は白のドレス、男の子はダーク・スーツを着て教会で初拝領を受け、家族でお祝いすることが多い。
なお、聖体節にはミサの後にキリスト像などを掲げた「御行列」が市中を歩く。
7.オレクスィSLD党首、辞任を表明。後任候補にピェホタ経済相とディドゥフ幹事長。
5月21日、政府与党・民主左翼連合(SLD)のオレクスィ党首は執行部会議に於いて、昨年来の支持率の低下などから、各副委員長を含む執行部全員が同29日の党全国評議会で辞任すると発表した。後任には、人気の高いオレイニチャク農相(30歳)に、クワシニェフスキ大統領自ら出馬の説得に当たったが、同農相は固辞し、ピェホタ経済相とディドゥフ幹事長が立候補する見込み。
オレクスィ党首は、「自分は未だに大統領から支持を得られていない」と述べた。なお、SLDは大統領候補としてシマイジンスキ国防相を擁立する見込みで、6月11日の党代表者会議で採択される予定。