ポーランド政治・社会情勢(4月20日〜26日)

 

1.政府、EU加盟1年間の評価報告書を発表

4月27日、政府は、EU加盟後の1年間の経済・社会状況評価報告書を発表した。外部の専門家に委託したもので、全体で約320ページになる。報告書では、特に経済の好調さと、一部で予測された社会的な混乱などが杞憂に終わったとして、ポーランドのEU加盟のバランスシートの良好さを強調している。ただし、景気は既に加盟前から上向き始めており、報告書でもEU加盟と経済成長の因果関係が明らかにされていない、という批判もある。

主な点は次の通り。

○2004年末までで、ポーランドはEUから約60億plnのネット収入があった。(補助金等の収入約120億。拠出金等の支出約60億)。農業補助金は約68億plnに達した。

EU諸国との貿易黒字が拡大。2004年には前年同期比で輸出33%、輸入23%の増となった。EU製品の輸入が飛躍的に増加する現象はなかった。2005年もこの傾向が続いており、1,2月だけで10億ドルの黒字を計上している。

マイナス面は食料品を中心とする物価上昇。2004年のインフレ率は4.6%で、予想(2〜3%)を上回った。ただし物価の上昇は鈍化しており、現在は年率3.5%程度。

○国外就労者は2004年には延べ約55万人で、前年比で約10万人の増加に留まった。「労働力の洪水的流出」の懸念は当たらなかった。2005年の予測は60万人。

 

2.新教皇、年内にポーランドを訪問か

 4月24日の教皇就任式に出席したクワシニェフスキ大統領はミハリク司教会議議長と共に、教皇ベネディクト16世に対し、ポーランド訪問を招請する招待状を渡した。教皇は、8月には世界青年デーで祖国ドイツのケルンを訪問することが決まっている。しかしヴァチカン筋では、「教皇のポーランド訪問は選挙後」としているため、11月のポーランド司教団から独司教団への書簡(注)40周年記念行事の際に訪問する可能性もあると言われている。

 *ポーランド司教団からドイツ司教団への書簡

 1965年、第二ヴァチカン公会議の終了時に、ヴィシンスキ首座大司教を中心とするポーランド司教団が、ドイツ司教団に書簡を送り、第二次大戦の行為を「許し、許しを乞う」として両国民の和解を提案した。ドイツ側に許しを乞う必要はないとする批判など、当時は大きな議論になったが、その後の両国和解の始まりになった。

 

3.次期連立政権にひび割れか

4月25日、政党「市民プラットフォーム」(PO)のグロンキェヴィチ=ヴァルツ・ワルシャワ支部長代理(元中銀総裁)は、ワルシャワ市のインフラ整備などの遅れは、L.カチンスキ市長の責任だとして、2004年度の市の決算報告にPOとして反対すると表明した。同市長側は十分職責は果たしているとして反論している。本件は、POではトゥスクPO党首も了解済みで、党の方針となっている。カチンスキ市長が大統領候補となっている「法と正義」(PIS)では、党としての反論は行っていない。

POとPISは次期国会選挙での勝利が確実視され、この両党で次期連立内閣の形成を合意している。4月始めの調査で始めてPISが24%を獲得し、PO(20%)を逆転した(他の調査ではPO優位の結果もある)ため、PO側の巻き返しと見る向きもある。両党とも、公式には「連立政権の形成合意に変化は無い」としているが、政権発足後の内部対立の可能性をうかがわせた。

 

4.大統領選挙

(1)4月22日、ジェチポスポリタ紙は、世論調査の結果として、今秋の大統領選挙の候補者支持率を発表した。結果は次の通り。

L.カチンスキ・ワルシャワ市長(法と正義(PIS)) 26%

レリガ上院議員(中央党)                20%

チモシェヴィチ下院議長(民主左翼連合(SLD)) 14%

ボロフスキ社民党党首                  12%

レッペル「自衛」党党首                  11%

トゥスク市民プラットフォーム(PO)党首        11%

 この6名でほぼ有力候補は出揃ったと見られ、3月に早々に選挙キャンペーンを開始したカチンスキ市長が一歩リードしている。ただし他の調査機関ではレリガ議員が1位となるなど、混戦模様が目立っている。

(2)4月22日、市民プラットフォーム(PO)のトゥスク党首は、始めて大統領選挙に立候補する方針を明らかにした。5月2日のPO選挙準備大会で正式表明する見込み。

(3)4月25日、社民党は、ボロフスキ党首の大統領立候補を4月30日の党選挙(準備)大会で正式に発表するとした。ただし同党首は、左派候補の共倒れを防ぐため、いずれかの時点で、チモシェヴィチ下院議長と自分で、世論調査での支持率の低い方が辞退すべきだとしており、今回の立候補も「立候補のための立候補」としている。

(4)レッペル「自衛」党首は、4月23日にワルシャワの文化宮殿で党政策大会(文化宮殿)を開催し、大統領に立候補すると表明した。

 

5.サスキ宮殿の再建計画

4月22日、ワルシャワ市役所は、大戦で破壊されたままになっているサスキ宮殿の再建計画を発表した。この内、無名戦士の墓に隣接する部分では、市が設立する「ヨハネ・パウロ2世思想研究所」が入るとされている。今後設計、施工者の入札が実施される予定。