ポーランド政治・社会情勢(3月30日〜4月5日)

 

1.ローマ教皇、逝去

ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は、4月2日の21:37に84才で逝去した。

教皇が洗礼を受けたWadowice(ヴァドヴィツェ)の教会など、ポーランド全土で教皇の死が悼まれた。

ガゼータ・ヴイボルチャ紙は社説で、「我々が生きた過去四半世紀は、後生、『ヨハネ・パウロ2世の時代』と呼ばれるであろう。」とし、「ポーランドの反体制派が最も苦しかった時代に、教皇は我々に『怖れるな』と語りかけ、真実と自由の光明を与えた。」と記した。クワシニェフスキ大統領は、弔意の中で、「カロル・ヴォイティワ(教皇の俗名)−ヨハネ・パウロ2世は、最高の意味でのポーランドの愛国者であり」、「ポーランドの地から現代史の最高の人格が生まれたことは我々の誇りだ」と述べた。

 

2.教皇の葬儀は4月8日に。

(1)ヨハネ・パウロ2世のヴァチカンでの葬儀が4月8日の10:00と決まった。政府はこれを受けて、同5日の閣議で8日を官公庁、公立学校の臨時休日とし、自治体や民間企業に対しても出来る限り配慮するよう要請する政令を採択した。

(2)4月5日、ワルシャワのピウスツキ広場では教皇との別れを告げる教皇特使、ポーランド司教団の共同司式によるミサが開催された。ミサには要人の他一般参列者約30万人が参加し、全てTVで放映された。

(3)4月8日のヴァチカンでの葬儀に参加するポーランド人は約数十万と言われている。各紙は、ローマへの交通機関の案内などを掲載し、チェコ政府は、通行がピークと予測される7日には国境職員を倍増して混雑の緩和に努めると発表した。ローマのポーランド大使館では、市内での宿泊は不可能であり、郊外に泊まって当日公共交通機関で聖ピエトロ広場に向かうように呼びかけている。

 ポーランドからは、クワシニェフスキ大統領、ベルカ首相、ワレサ元大統領などが公式代表として参加する。

 

3.ハウスネル副首相兼経済相の辞表受理。後任はピェホタ副大臣。

3月31日、ベルカ首相はハウスネル副首相兼経済・労働相の辞表を受理し、後任にピェホタ同省副大臣を任命する人事の申請をクワシニェフスキ大統領に行った(憲法上、閣僚の任免は首相の申請により大統領が行う)。同大統領はこれを認め、任免を行った。ピェホタ新大臣副首相兼任しない。与党民主左翼連合(SLD)のオレクスィ党首は、副首相の後任としてシマイジンスキ国防相を推していたが、ベルカ首相が拒否した。

ハウスネル副首相は与党を離脱し、新設される民主党設立準備に既に関係しており、辞任は規定の路線。今後は首相府の民間顧問として、自分が中心だった「国家開発計画:2007−13」の作成に参加を続ける。

ピェホタ新経済相は、ミレル内閣で2002年まで経済相だったのが、省庁統合により副大臣となり、今回「返り咲いた」形になった。ハウスネル前副首相との関係も良く、自らSLDの党首候補と言われながら、民主党に好意的発言を繰り返している。

与党系の「トリブナ」紙は、「ハウスネルとミレル(前首相)の政策こそがSLDの支持率を下げたのであり、スキャンダルが原因ではない」、と論評し、同副首相社会保障カットし、失業対策で実効上げられなかった出世主義者として批判した。

 

4.通貨政策評議会、公定歩合の0.5%引き下げ

 3月30日、通貨政策評議会(RPP)は、公定歩合の0.5%引下げを発表した。物価上昇率の低下が著しいのが最大の理由としている。今後の利下げにはまだ慎重で、市場筋は年末までに、年初からの合計1.0−1.5%程度の下げを予測している。

 

5.ロシア、ヤルゼルスキ元大統領を対独戦の従軍功績者との理由で5月9日式典に招待

3月31日付の各紙は、ロシアが、5月9日にモスクワで開催される対ファシズム勝利60周年記念式典に、ヤルゼルスキ元大統領を招待し、同元大統領はこの招待を受諾したと報道した。

ヤルゼルスキ元大統領は、大戦中にソ連領内に抑留され、その後ソ連で形成された軍に参加、ポーランドなど戦線などに従軍した。ロシア側は同元大統領招聘の理由を特に発表していないが、欧州解放戦の功労者として両国の協力関係をクローズアップするのが目的と観測されている。同式典に出席するクワシニェフスキ大統領は、ヤルゼルスキ元大統領の参加を歓迎するとしている。

国内では反対も多く、退役軍人協会のJ.ブコフスキ副会長は、「ヤルゼルスキ将軍は独立ポーランドの理念と一度も関係しておらず、常にソ連の正義の信奉者だった。こういう人物がモスクワの式典でポーランド代表の一人となるのは不適切だ。」と述べた。アウシュヴィッツ強制収容所から生還者で、社会主義政権から迫害を受けたバルトシェフスキ元外相は、「モスクワの意図は何ら驚くに足りない。ヤルゼルスキ将軍がポーランドの歴史で演じた役割を改めて確認するものだ。」と述べた。

 

6.FAKT紙アンケート:青年層の6割が国外脱出を望む。

4月1日付のFAKT紙は、世論調査機関のPENTORの調査結果として、青年層(15〜29才)の60%が、機会があれば国外移住を希望すると回答したと発表した。理由は、国内では失業等から展望持てないというもの。回答者全体では40%。

ポーランド人であることに誇りを感じる、と答えた人は90%を越え、国内に留まりたいが経済的環境が厳しい、という意識が目立つ。