ポーランド政治・社会情勢(1月5日〜11日)

 

1.ローマ教皇庁報道官、今年は教皇のポーランド訪問は予定にないと発言

 1月12日、ローマ教皇庁のナヴァロ=ヴァラス報道官は、2005年はポーランドは選挙の年であり、教皇のポーランド訪問は予定されていないと述べた。教皇の訪問は既にグレンプ・ポーランド首座大司教も「6月が最有力」と認めていたもので、突然の発言の背景について諸説が出ている。特に、チモシェヴィチ下院議長が「6月14日が選挙の候補日」と発表した直後だったため、与党・左派が教皇訪問を事実上困難にしたという批判も出た。

 ただし、教皇周辺の別の高官の非公式発言として、報道官発言は「現時点では教皇の訪問は具体的に予定されていない」というものであり、可能性はまだある、教皇は祖国巡礼を希望している、も伝えられている。ナ報道官が、8月の「世界青年の日」でドイツ・ケルンでの「世界青年の日」への教皇訪問は決まっていると述べたことからも、8月30日の「連帯」発足25周年記念日頃のポーランド訪問の可能性も指摘されている。

 

2.国営電力6社、労使で10年間の雇用契約締結。政府は問題としつつも手詰まりか

国営の送配電公社6社と、ベウハトフ発電所公団等の子会社では、社長以下幹部を含む全従業員の10年間の雇用保障と、解雇の場合は120ヶ月分の給与保障を行うことを内容とした「社会契約」を、経営側と労組、従業員評議会が締結した。対象者は総計で35万人と言われる。ポーランドの電力業界は西側と比較して30〜40%の過剰雇用と指摘される中で、企業合理化を妨げ、電力料金の高値安定をもたらすと批判されている。政権交代を見込んだ与党民主左翼連合(SLD)系の経営陣が、地位の保全を狙って労組と「お手盛り合意」をした形となった。

ベルカ首相は見直しの検討を命じたが、契約自体違法とは言えない状況。検事局も背任(企業合理化を妨げる)の疑いで経営陣に対する調査を開始したが、立件は困難と見られ、経営陣を対象から除外するのが精一杯という見方が強い。

雇用保証契約は、今後炭坑等に拡大するのではと懸念されている。

*ポーランドでは全国を8ブロックに分け、国営6社、民営化された2社(ワルシャワのSTOEN、カトヴィツェのGZE)の電力会社が送配電を行っている。国営6社はグダィンスクのENERGA、ポズナニのENEA、ヴロツワフのENERGIAPRO、ウッジのL-2、ルブリンのL-6、クラクフのEnion

 

3.「6月19日選挙」が具体化か

11日、チモシェヴィチ下院議長は、5月5日に下院解散提案を行う用意が有り、選挙の投票日として例えば6月19日が考えられると発言した。解散には下院定数(460)の3分の2(307)が必要で、与党には前倒し選挙に抵抗があり、曲折が予測される。

 

4.家族同盟、社会主義時代の秘密警察の要員、協力者名簿の公開法案を提出へ

 1月10日、ギエルティフ「家族同盟」党首は、社会主義時代の旧公安・情報機関員と、その秘密協力者名簿の全面公開法案を提出すると発表した。各党派では、現在反対しているのは労働同盟だけであり、人権上の問題を抱えながらも採択の可能性が高い。

旧公安の「人物ファイル」を管轄する国民記録機関(IPN)のキエレス長官は、法律が通れば当然IPNは情報流出を止めようが無く、少なくとも公開の前にIPNが審査する手続をとるべきだと述べた。「秘密協力者」として名前が挙がっている人物には、本当に協力歴があったか疑問のケースも多いとされる。同長官は、チェコではインターネットで協力者名簿を公開したが、3200もの名誉毀損訴訟が起こされ、800名が事実無根と判ったという例を紹介している。

*現行法では、旧公安への協力の有無は、(1)公職にある者の協力履歴に関する宣誓が虚偽と判明し、その本人氏名が公表される場合と、(2)旧公安からの被害者と認定された人物が、自分のファイルを閲覧し、そこに記載された公安要員、秘密協力者の名前を公表する場合、の二つがある。

 

5.下院にPZU民営化調査特別委員会発足

1月7日、下院は保険会社PZUの民営化調査特別委員会を設置し、レッペル「自衛」党首他、各党派が委員を選出した。職務の中心は、(1)欧州の7大保険会社でむしろ下位のEurekoを民営化相手に選択した理由、(2)Eureko社へのPZU株式売却価格は安すぎたという疑問と政治家の関与、(3)PZUに対する教会系TV「ファミリヤTV」設立の資金供給の圧力があったか、などの点。

PZUは2004年の収益見込みはネットで約20億plnと過去最高を記録した。

 

6.ポーランドの繊維業界、EUの対中繊維製品輸入の制限解除で懸念表明

 1月1日、EUは中国の繊維製品の量的輸入制限を撤廃した。ポーランド等の欧州の繊維製品業界は、これを重大な脅威と受けとめている。ポーランドでも、繊維業界組合では、「WTO上、公正貿易に違反がないか。セーフガード発動の必要がないか。」を十分監視するよう、欧州委に要請を出す(ロスクフィタルスキ副会頭)としている。

 ポーランドの繊維業界は1万数千社を数え、従業員は総計で約18万人。

 

7.ワルシャワでビジネスマンの誘拐事件。無事解放

 1月5日、ワルシャワ・ソレツホテル近くで農業機器関連の会社を経営するアダム・K氏(匿名)が、白昼乱入した賊に殴打、拉致され、家族に身代金10万ドルの要求があった。家族は警察とも協議の上交渉、12万plnに減額の上支払った。一方では7日の夜、路上を通行中のクシシュトフ・K氏が、最近多い「ニセ警官手口」、ニセの警察身分証を提示して路地に連れ込み、これも殴打、誘拐した。9日、警察はアジトをつきとめ捜索し、更に賊を追っていたところ、追いつめられたと感じた犯人グループの一部が自首。人質は無事解放された。