ポーランド政治・社会情勢(12月15日〜21日)

 

1.与党・民主左翼連合が党大会開催。党首にオレクスィ下院議長を選出

12月17、18日、民主左翼連合(SLD)は第三回定期党大会を開催した。焦点の党首選では、オレクスィ下院議長が得票485票で、ヤニク現党首に約100票差で勝利し、1997年の辞任以来7年振りに返り咲いた。

今回の党首選では、次回国会選挙が議論の中心となった。ヤニク前党首は、クワシニェフスキ大統領の提唱する「左派連立」構想、つまり社民党や労働同盟(UP)との統一候補者名簿作成と、選挙共闘こそ支持率回復に重要という立場。オレクスィ新党首は、「連立よりもまずSLDの強化が重要」として大統領とは一線を画していた。予想に反し100票の大差がついたことで、多くのSLD幹部が大統領構想に距離を置いていることが判った。クワシニェフスキ大統領は、通常は出席する(党首選後の)大会第二部に参加せず、不満をうかがわせた。

ヤニク前党首は、「党内反対派」として「社会民主主義の未来」(SDP)グループの立ち上げを宣言。副委員長に再選されたナピェルスキ下院議員ら30名が参加した。分派行動の可能性を聞く各紙記者に対し、同前党首は否定し、SLDの改革を目指す、と述べた。

SLDは、11月には支持率10%まで持ち直したが、ヤクボフスカ、ミハラク両下院議員の汚職関与疑惑などスキャンダルが再発し、12月ではついに1990年の結党以来最低の5%を記録、このままでは選挙の惨敗は避けられないと、党内には強い危機感がある。

なお、5月にSLDを離党し、社民党を立ち上げたボロフスキ前下院議長は、大会に書簡を送ったが、SLDを強く批判する内容で会場からブーイングが起こり、選挙共闘が難しいことを改めて印象付けた。

 

2.政府、イラク派遣軍の削減を発表

12月15日、政府は、イラクに派遣しているポーランド軍を、来年2月半ばをメドに現在の2,500名から、1,700名に削減すると発表した。ただし、イラク派遣予備隊として、展開期間が2〜3日の700名規模の緊急即応部隊を、常時国内に配備するとしている。政府は、来年1月末に予定されるイラクでの選挙後に、一定の削減を行うと公約していた。

 

3.ベルカ首相、秋までの「任期延長」の意義を自ら否定

12月17日、ベルカ首相はワルシャワでの知識人との会合で、ベルカ内閣には政治的支援が無く、政策の選択の幅が極めて限られており、秋までの「任期延長」については自ら「意味が無い」と述べた。ベルカ首相は就任時の所信表明演説で、内閣の任期を2005年春までという前提で政策目標を立てる、と述べている。

またベルカ首相は、財政・社会保障制度改革(ハウスネル・プラン)については、議会の支持が得られず、事実上の構想断念が続いており、残り任期で議会に提出できる関連法案も「多くて2つ」と述べた。また対外関係では、ドイツとの関係で(賠償問題などから)引き続き懸念を持っており、ポーランドのウクライナ情勢への過度の関与は、ロシアとの関係を不安定にする可能性がある、と述べた。

 

4.政府、保険会社PZUの株式所有比率について、オランダ企業と妥協合意

12月14日、政府は、ポーランド最大の保険会社PZUの株式売却について、契約を巡って争いの続いていたオランダEUREKO社と合意したと発表した。

現在、PZUの株式保有率は、Eureko・ミレニウム銀行コンソーシアムが31%、国庫55%、従業員14%だが、1999年のポーランド政府との株式取得契約では、Eureko+ミレニウム52%、国庫34%、従業員14%となる予定になっていた。しかし、その後政府は金融政策上も重要な影響のあるPZUが、50%以上の株式保有により外国企業に支配されるのを怖れ、Eurekoへの契約履行に難色を示した。Eureko側は不服として欧州仲裁裁判所に提訴し、ポーランド政府は最大10億ユーロの損害賠償義務を負うことになった。その後の交渉で、Eurekoの最大株主の地位を保証しつつ、51%以上の取得を避ける妥協案が模索された。最終的に、欧州復興開発銀行(EBRD)が安定株主として5%を取得し、政府が今後株式の公開売却義務を負うなどの案が成立し、Eureko+ミレニウム36%、国庫25%、(来夏までの)株式公開売却分20%、EBRD5%、従業員14%で合意した。

 

5.内閣支持率、一段と低下

世論調査センター(OBOP)は、ベルカ首相とその内閣に対する支持率を発表した。それによると、ベルカ首相に対する評価は、不支持率52%、支持率27%で、前月より4%悪化した。ベルカ内閣の業績については、不支持率82%、支持率11%と、ミレル前内閣の末期に迫る数字になった。

支持率の低さの原因としては、生活実感として、一向に改善しない失業と社会インフラの悪さが挙げられ、内閣の行動力の無さが問題としている。

 

6.上院予算審議で、反教権派の副議長が「神性祭壇」建設に補助金の提案

12月15日、上院の予算審議で、ヤジェンボフスキ副議長(SLD)は、国民記録機関(IPN)の予算から2,000万plnをカットし、「教皇を迎えるため」として「神性祭壇」建設補助金に振り向ける提案を行った。ヤジェンボフスキ副議長はIPNを「現代の異端審問書」と呼び、嫌っていることで有名だが、反教権主義者でもあり、この提案は議場の驚きを呼んだ。各紙は、同副議長がIPNを嫌うあまりのマキャベリズムと批判した。同16日、ヤニクSLD党首が「冗談もいい加減にした方が良い」と要求の取り下げを説得すると、あっさり応じた。

 *神性祭壇:来年の(おそらく)6月に予定される教皇のポーランド訪問に合わせ、ワルシャワ郊外のヴィラヌフ宮殿の近くに建設中の巨大礼拝堂。カトリック教会ではこの建設に全力を挙げているが、資金不足もあり思うように進んでいないと言われる。

 

7.レッペル、大統領選立候補を表明

12月17日、レッペル政党「自衛」党首は大統領選挙への立候補を表明した。スローガンはこれまでと変わらず、「他の連中はもう政権を担当した。我々しか汚れてないのはいない」。