ポーランド政治・社会情勢(11月17日〜23日)
1.下院、「ハウスネル・プラン」の重要法案を否決
11月19日、下院は、これまで一律同額の、個人営業者等による社会保険局(ZUS)への支払額を、所得に応じて増額する制度を導入する政府法案を、賛成207、反対218で否決した。与党議員に欠席が多かったことが原因。
手工業者、床屋、服屋や自動車修理工場経営者など、サラリーマン以外の自営業者には、社会保険局(ZUS)への納入額が固定(現在は月額約468pln)されているが、政府はこれを不公平として所得累進制への改正を提案していた。同法案では、例えば月収が4,000plnだと納入額が468pln→1,170plnと、従来の3倍近くになる。経済界からは、特に中堅所得者層の負担が過重になると批判があり、ボフニャシュ・ポーランド雇用者連合会長は、「深刻な雇用減を招く可能性があった。」として今回の否決を歓迎している。
本法案は、財政・社会保障の改革を目指すいわゆる「ハウスネル・プラン」の一つだが、政府側が全面的に敗北した形となった。政府は予定していた2005年度予算の歳入で15〜16億plnの不足が出るとし、対応を今後検討するとしている。
ボロフスキ社民党党首は、担当のパテル社会政策相の責任を追及するとしていたが、24日、同大臣は辞任し、後任としてヤルガ=ノヴァツカ副首相が兼任することになった。
2.検事局、SLD下院議員の訴追免除特権停止を要請。製鉄所民営化で職権濫用
11月19日、チェンストホヴァ検事局は、元経済省、国有財産省次官のシャラヴァルスキ下院議員(与党民主左翼連合(SLD))に、製鉄所民営化を巡る職権濫用の疑いがあるとして、下院に対し同議員の訴追免除特権の停止を要請した。2003年、シャラヴァルスキ議員は経済次官、次に国有財産次官として「ポーランド鋼鉄製鉄所」(PHS)の民営化を担当していたが、米国のUSスティール社との交渉に、本来参加資格の無いマチェイ・Dというコンサルタント会社代表を参加させた。同代表は、USスティール社に対し、シャラヴァルスキ次官の要請だとして3,000万ドルの贈賄を要求したため、同社はツィトリスキ国有財産相に訴え、「D」は2003年3月に逮捕された。PHS社の民営化・売却にはインドのLNMグループ(ただし英国籍)とUSスティールが競合し、結局LNMグループが落札した。検事局はシャラヴァルスキ議員の贈賄要求そのものを捜査していたと見られるが、1年半の捜査の後、立件は難しいと判断して容疑を職権濫用に絞った模様。
相変わらずスキャンダルの絶えないSLDの執行部は頭を悩ませており、シャラヴァルスキ議員が自ら議員特権を放棄し、離党することを期待している。
3.政党支持率調査
11月22日、世論調査センター(CBOS)は、政党支持率と、それに基づく下院の得票議席を発表した。ミレル内閣の退陣と、SLD・社民党の分裂(5月)以来、市民プラットフォームがトップを守り、家族同盟が二位になるなど、左派与党に厳しい状況が続いている。
○市民プラットフォーム(PO) 支持率29%−154議席
○家族同盟(LPR) 13%−67議席
○「法と正義」(PIS) 12%−66議席
○「自衛」 11%−65議席
○民主左翼連合(SLD) 7%−46議席
○農民党(PSL) 6%−24議席
○社民党(SDPL) 5%−19議席
○労働同盟(UP) 5%ー19議席 (合計:460議席)