2004.11.4
ポーランド政治・社会情勢(10月27日〜11月2日)
1.欧州憲法条約、ローマで署名
10月29日、ベルカ首相とチモシェヴィチ外相は、6月の欧州理で合意されていた欧州憲法条約案に署名した。今後25の全加盟国が批准すれば発効する。批准期限は2年間。クワシニェフスキ大統領は、本件では国民投票を実施し、その時期を来年10月に大統領選と同時に行いたいと表明した。理由として、同時期が最も高い投票率が期待できることを挙げた。与党民主左翼連合(SLD)、社民党は大統領提案を支持しているが、野党は「検討期間が短い」「大統領選との同時実施は左派与党の選挙対策」として「2005年中の実施には反対」(カチンスキ「法と正義」党首)を表明している。
【欧州憲法条約の特徴】
○EUの決定の強制力:強制力を持つ分野−関税・競争政策等、各国との調整事項−農業等、方針は各国が決め、EUは支援に限定するものー教育、防衛政策等。
○意志決定方法(現行は事実上全て全会一致):原則は単純多数決。特定事項は票の55%、人口の65%の賛成で可決。外交政策、税制、社会保障制度には各国の拒否権を残す。
○常任の欧州理事会議長(「欧州大統領」)と、EU外相を創設
○欧州議会の権限が拡大され、EU理事会とほぼ同等となる
○欧州委員は2014年までは1国1委員とし、その後は加盟国数の3分の2に限定する
○5月9日をEUの日とする。「EU歌」はベートーベン第9の「歓喜の歌」。
○EU(欧州委ではなく)として法人格を持つ。
2.オルレン事件関係
下院の「オルレン」問題調査委員会は、数回にわたり証人喚問を実施した。主な動きは次の通り。
○J.クルチク氏は病気療養のためとして米国に出国した。フロリダで入院中という発表だったが、入院者名簿に記載されていないことが判明。調査委は11月9日の召喚状を出しているが、実現は困難か。
○シェミョントコフスキ元諜報庁長官(下院議員)は委員会の証言で、ロシアがエネルギー貿易で東欧支配を強化していると発言した。ロシアの石油、ガス企業は西側の関連企業の買収でも支配権を拡大しているとも発言した。
○10月27日、クワシニェフスキ大統領は訪問先のベルギーで、「(疑いを明らかにするため)出来るだけ早く証言に立ちたい」と述べた。
3.ポーランド人女性、イラクで誘拐
10月28日、イラクに在住するポーランド人女性Teresa
Borcz氏(54歳)が誘拐され、アルジャジーラTVでその映像が放映された。犯人グループの要求はポーランドのイラク駐留軍の撤退と、米軍によるイラク女性捕虜の釈放。クワシニェフスキ大統領は、ポーランド軍は撤退しないとし、チモシェヴィチ外相はテロリストとは交渉しないが、解放に向け全力を尽くす、としている。
この女性はクラクフ出身で、同地に留学していたイラク人と結婚。バグダッド在住25年。ポーランド大使館に在勤していたが1994年にフセイン政権の情報部との通牒の廉で解雇された。
4.米国上院、議員1名の反対によりポーランド人に対する査証免除法の採決に至らず
10月28日、米国上院ではポーランドを査証免除対象国リストに加える法改正の採決について審議されていたが、議員1名の反対で採決に付されなかった。投票は匿名だったが、少数民族政策の強硬派で知られるハリー・レイド議員(民。ネヴァダ)と言われる。本法改正ではワレサ元大統領が10月の訪米中に強く働きかけていた。
5.ポーランドの各種ランキング
○汚職清潔度(Transparency International レポート):67位(EU諸国中最低)
○経済競争力(世界経済フォーラム・レポート):60位。前年から15ポイント低落。(EU諸国中最低)。
○失業率(eurosat統計):19%(EU諸国中最悪。二位はスロヴァキアの16%)
○平均所得(同):EU平均の47%。前年下位のラトヴィア、リトアニアに抜かれ、EU諸国中最低。