ポーランド政治・社会情勢(10月13日〜19日)
1.ベルカ内閣信任
10月15日、ベルカ首相は事前の公約通り、下院に信任投票を要請し、賛成234、反対218で採択された。賛成は与党民主左翼連合、社民党、労働同盟、農民民主党などで、他の野党が反対した。その採決に先立ち、野党の議会解散提案が提出されたが否決された。また、ベルカ首相が、採択されれば内閣総辞職するとしていたバリツキ厚相とチモシェヴィチ外相の不信任案も否決された。
内閣の信任は9月頃から確実視されていた。イラク駐留軍の撤退問題では、2005年始めから削減を開始するが、一方的な(全面)撤兵で情勢を不安定化させることはしない、と述べ、改めてこれまでの立場を確認した。
2.政府、来年度予算案を下院に提出
10月14日、下院本会議で、2005年度政府予算案の第一読会が行われた。前提となる経済見通しでは、GDP成長率5%、インフレ率2.5%(±1%)、平均為替レートは1ユーロ=4.42pln、1ドル=3.68plnとされ、来年度末の失業率は18.2%と予測されている。歳入1,737億pln、歳出2,087億plnで、財政赤字額は350億plnで、GDPの3.7%と想定された。
野党は、財政赤字額は楽観的に過ぎると批判し、ハウスネル副首相兼経済相は逆に野党の算出方法について反論した。本会議は賛成多数で委員会審議に送付した。
【参考:ポーランドの国会審議】
ポーランドでは、各法案はまず本会議に提出され、採決に付される(「第一読会」)。賛成多数の場合は委員会に送付され、審議の後に採決される(「第二読会」)。採択の場合はもう一度本会議に送られ、最終的に採決される(「第三読会」)。
3.カチンスキ・ワルシャワ市長、ワレサ元大統領に謝罪
10月17日、L.カチンスキ・ワルシャワ市長は、ラジオでワレサ元大統領のことを「(バホフスキ元大統領官房長官が)犯罪を犯すのを許容した。」と述べたことで、同元大統領に謝罪した。ワレサ大統領はこれを受け、刑事告訴を取り下げた。カチンスキ市長は、本件の民事訴訟で最高裁から謝罪義務の判決を受けていた。
同判決は、バホフスキ元長官に対する謝罪も命じているが、カチンスキ市長は拒否しているため、同元長官は刑事告訴を取り下げていない。なお、同元長官は詐欺容疑で告訴されている。
4.クルチク氏、ロシアのアフガノフ氏との面談で大統領の影響力に言及?
ポーランドの各紙は、昨2003年7月、ウイーンでロシアの電力会社幹部で元KGB要員のアフガノフ氏に面会した際、J.クルチク氏はクワシニェフスキ大統領の名前を上げ、その支持を得ていると発言した疑惑が持たれていると報道した。本件では情報機関の国内保安庁(ABW)がメモを作成しており、既に下院オルレン問題調査委員会に提出されている。野党では、大統領がクルチク氏に支持を与えていたとすれば重要な問題だとして、事実の解明を要求している。
5.野党代表、次期政権について協議
14日付ガゼータ・ヴイボルチャ紙は、次期連立政権樹立が有力視される「市民プラットフォーム」(PO)のロキタ院内総務と、「法と正義」(PIS)のJ.カチンスキ党首が会談し、政権構想を協議したと報道した。
両者とも、会談の事実は認めつつもその内容については一切明かさなかった。同紙は、いわゆる「ヴェイスカ通り(国会所在地)の噂話し」として、「ロキタ首相、カチンスキ下院議長、ジョブロ法相、ドルン内務行政相、マルチンキェヴィチ教育相or国財相、ウヤズドフスキ文化相、ギロフスカ財務相、サリユシュ・ヴォルスキ外相、コモロフスキ国防相、ラジシェフスカ保健相」といった次期内閣の陣容候補を紹介している。両者は、この「うわさ」について、協議の実態からはかなり遠い、とコメントしている。